コントラ戦争

コントラ戦争：冷戦下のニカラグア内戦

コントラ戦争は、1979年のサンディニスタ革命によって成立したニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線（FSLN）政権と、これを打倒しようとする反政府ゲリラ「コントラ」との間で繰り広げられた内戦です。この内戦は、冷戦という国際的な対立構造の中で、アメリカ合衆国とソビエト連邦という二つの超大国による代理戦争の様相を呈しました。

背景：ソモサ独裁政権の崩壊とサンディニスタ革命

FSLNは、1934年から1979年まで45年間続いたソモサ一族による独裁政権を武力闘争によって打倒し、政権を掌握しました。ソモサ政権は、アメリカの支援を受け、反共主義を掲げていましたが、その強権的な支配と貧富の格差拡大により、国民の不満が高まっていました。FSLNは、こうした国民の支持を背景に革命を成功させ、社会主義的な政策を推進しました。

アメリカの介入とコントラの結成

アメリカは、FSLN政権の社会主義的な政策とソ連・キューバとの接近を警戒し、反共政策の一環としてコントラを支援しました。コントラは、ソモサ政権の残党やFSLNに不満を持つ人々によって組織され、アメリカ中央情報局（CIA）の支援を受けながら、ニカラグア各地でゲリラ活動を展開しました。

冷戦の代理戦争

コントラ戦争は、アメリカとソ連という二つの超大国による代理戦争の様相を呈しました。アメリカは、コントラに対して資金、武器、訓練を提供し、ニカラグア政府を弱体化させようとしました。一方、ソ連とキューバは、FSLN政権に対して軍事・経済援助を提供し、アメリカの介入に対抗しました。また、親米的なホンジュラスやエルサルバドルなどの中米諸国も、自国領内の軍事基地を提供するなどしてコントラを支援しました。

イラン・コントラ事件

コントラ戦争をめぐっては、アメリカがイランとの間で秘密裏に武器取引を行っていたことが発覚するイラン・コントラ事件が発生し、アメリカ国内で大きな政治問題となりました。この事件は、レーガン政権の外交政策に対する批判を強め、コントラ支援に対する世論の反発を招きました。

内戦の終結とニカラグアの現状

1980年代後半になると、冷戦の終結とソ連の弱体化により、ニカラグア内戦の国際的な背景が変化しました。1989年8月には、FSLN政権とコントラの間で停戦合意が成立し、内戦は終結しました。1990年に行われた大統領選挙では、国民の支持を得たビオレータ・チャモロが当選し、FSLN政権は退陣しました。

10年近くに及んだ内戦は、ニカラグアに深い傷跡を残しました。経済は破綻し、社会インフラは破壊され、多くの人々が難民となりました。現在、ニカラグアは、内戦の傷跡からの復興を目指していますが、貧困や格差などの課題が山積しています。2007年には、ダニエル・オルテガが大統領に再選され、FSLNが政権を奪還しましたが、その政治手法や人権問題に対する懸念も指摘されています。

コントラ戦争は、冷戦という国際的な対立構造の中で、中小国が超大国の代理戦争の舞台となった悲劇的な事例として、歴史に刻まれています。

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