コントルタマツ

コントルタマツ（ロッジポールパイン）

コントルタマツ（学名: Pinus contorta）は、マツ科マツ属に分類される常緑高木です。北米大陸西部の沿岸部を中心に広く分布し、ロッジポールパイン（Lodgepole pine）という英名でも知られています。

名称の由来

コントルタマツは、その名の通り、ねじれたような形状の樹形が特徴です。英語では、コントルタパイン（Contorta pine）の他に、ロッジポールパイン、ショアパイン（Shore pine）、ツイステッドパイン（Twisted pine）など、様々な名前で呼ばれています。

特にロッジポールパインという名称は、ネイティブアメリカンが、この木をティピーと呼ばれる移動式住居の柱として利用していたことに由来します。また、学名の「contorta」は「ねじれた」という意味を持ち、ツイステッドパインも同様に、樹木の形状から名付けられました。

分布と生育地

コントルタマツは、北米西部原産で、カナダのブリティッシュコロンビア州からロッキー山脈を南下し、アメリカ合衆国にまで広がる広大な森林地帯に生育しています。この地域において、コントルタマツは重要な森林生態系を構成する要素の一つとなっています。

特徴

コントルタマツの最大の特徴の一つは、球果（松ぼっくり）の特性です。多くの球果は硬く閉じた状態で、樹脂によって保護されています。この状態のまま、なんと10年もの間、木に留まり続けることがあります。

森林火災が発生すると、熱によって球果が「烈開」という現象を起こし、硬い松かさを開いて種子を地面に散布します。火災によって親木が焼失した場所では、鎮火後に種子が栄養豊富な灰の上で発芽し、他の植物よりも早く成長を始める様子が見られます。これは、コントルタマツが森林火災後の環境を巧みに利用していることを示しています。

松枯れ問題

コントルタマツは、アメリカマツノキクイムシによる被害に常に晒されています。夏になると、キクイムシのメスが幹に穴を開け、内樹皮に産卵します。キクイムシの食害によって、共生菌である青変菌が木の内部で繁殖し、液体の流れを妨げることで、樹脂の分泌を阻害します。

樹脂の分泌は、木自身の免疫機能として働くため、これが阻害されると、青変菌が内部で胞子を形成し、翌年に羽化したキクイムシと共に、次の宿主となるコントルタマツへと被害が広がります。

しかし、キクイムシの幼虫は極寒の冬にはほぼ死滅するため、コントルタマツが健康であれば、多少の被害を受けても枯れることはありません。弱った木が枯死することは、結果的に落雷による山火事の燃料を確保することにもつながり、球果をつけるコントルタマツにとっては有利に働くと考えられています。

近年では、地球温暖化の影響で暖冬化が進み、キクイムシが爆発的に増加しています。そのため、キクイムシの攻撃に耐えきれず、多くのコントルタマツが枯死する被害が深刻化しています。

まとめ

コントルタマツは、北米西部の森林生態系において重要な役割を果たす樹木です。その独特な生態や、森林火災を利用した繁殖戦略、キクイムシによる被害など、興味深い特徴を多く持っています。しかし、地球温暖化による影響で、その存続が脅かされている現状もまた、我々が環境問題について真剣に考えるべき重要な課題を提示しています。

参考文献

ジョナサン・ドローリ 著、三枝小夜子 訳『世界の樹木をめぐる80の物語』柏書房、2019年12月1日。ISBN 978-4-7601-5190-5。

関連項目

マツ
マツ材線虫病

外部リンク

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