コンビアサ航空2350便墜落事故

コンビアサ航空2350便墜落事故報告書

2010年9月13日、ベネズエラで発生したコンビアサ航空2350便墜落事故は、51名もの乗員乗客を乗せた悲劇的な出来事でした。サンティアゴ・マリノ・カリビアン国際空港からマヌエル・カルロス・ピアル・グアヤナ空港へ向かう途中、着陸進入中に発生したこの事故により、乗員乗客17名が亡くなるという痛ましい結果となりました。

事故機の状況

事故に遭ったATR 42-320型機（YV1010）は、1994年製造の機体で、コンビアサ航空が2006年9月に導入しました。事故当時、総飛行時間は25,000時間以上、飛行サイクル数は27,000回を超えていました。長年の運用を経てきた機体であると言えるでしょう。

乗員乗客

2350便には乗員4名、乗客47名が搭乗していました。当初14名と報告された死者数は、その後負傷者の死亡により最終的に17名となりました。34名は奇跡的に生き延びましたが、残念ながらパイロット2名は犠牲となりました。

事故の経緯

事故当日は、13時29分（UTC）にサンティアゴ・マリノ・カリビアン国際空港を離陸。高度4,600メートルまで上昇を許可された後、14時00分頃、パイロットは機体の制御に問題が発生したと報告、高度3,400メートルへの降下許可を求めました。その後も高度を下げながら飛行を続け、14時16分には空港から20海里地点、高度1,800メートルで飛行中であることを報告。滑走路07への直線進入中でした。しかし、14時23分に緊急事態を宣言したのを最後に、パイロットからの応答は途絶えました。

14時24分、他の航空機が滑走路進入経路上に煙を確認したとの報告を受けました。目撃証言によると、2350便は送電線に衝突した後、工業地帯に墜落したとされます。地元の製鉄所作業員や消防隊が、勇敢にも救助活動を行いました。

事故調査

ベネズエラの航空事故調査当局が主導し、フランス航空事故調査局やATR社の協力のもと、徹底的な調査が行われました。2014年12月30日に発表された最終報告書では、中央乗員警告システムの誤作動による失速警報の誤作動が事故の推定原因として挙げられました。さらに、乗員の状況認識や意思決定能力、システムに関する知識不足といった人的要因も事故に大きく影響したと結論付けられました。

調査の結果、事故発生時、機体は失速警報の誤作動と昇降舵の切り離しの2つの問題を抱えていました。ATR 42/72型機には、片側の昇降舵が故障した場合に作動するPUMという機構が搭載されていますが、操縦桿への相反する力がPUMを作動させ、操縦桿の連動が切り離されてしまったのです。これにより、パイロットは左右の操縦桿を同時に操作しなければ機首を上げることができず、状況は悪化しました。また、製造元であるATR社は、失速警報の誤作動とPUMの同時作動の可能性について、マニュアルなどに記載していませんでした。

事故後

この事故を受け、ベネズエラ政府は3日間の喪に服することを宣言しました。トリニダード・トバゴはコンビアサ航空の同国への乗り入れを一時禁止しました。また、ベネズエラ政府はコンビアサ航空の運航を停止し、機材の点検を命じました。

まとめ

コンビアサ航空2350便墜落事故は、機材のシステムエラーと、それに対応するパイロットの能力、知識、訓練、そしてクルー・リソース・マネジメントの不足が重なって発生した、痛ましい事故でした。この事故は、航空機の安全性確保、パイロットの訓練、そして航空機システムの設計・運用における重要な教訓を与えてくれます。

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