コンプリートリー・ウェル
B.B.キングのキャリアにおいて重要な節目となったスタジオ・アルバム、『コンプリートリー・ウェル』（Completely Well）は、1969年に発表されました。この作品は、彼の音楽性がより広範な聴衆に受け入れられるきっかけとなり、その後の成功への道を切り開きました。
本作の中でも特に有名な楽曲「スリル・イズ・ゴーン」（The Thrill Is Gone）は、1950年代初頭にブルース・ミュージシャンのロイ・ホーキンスが発表した楽曲をカヴァーしたものです。このアルバムに収録されたヴァージョンでは、プロデューサーであるビル・シムジクのアイデアにより、それまでのB.B.キングのサウンドには少なかったストリングス・アレンジが加えられ、より洗練された印象を与える楽曲に仕上がっています。後にB.B.キングは、1997年のアルバム『デューシズ・ワイルド』で、シンガーソングライターのトレイシー・チャップマンをフィーチャーし、この曲を再びレコーディングしています。
『コンプリートリー・ウェル』は商業的にも大きな成功を収めました。アメリカの主要アルバム・チャートであるBillboard 200では、1970年4月4日付のチャートで最高位となる38位にランクイン。これはB.B.キングにとって初めての全米トップ40入りであり、ポップ市場における認知度を高める上で歴史的な成果となりました。また、『ビルボード』誌のR&Bアルバム・チャートでも最高5位まで上昇し、1965年のライブ盤『ライヴ・アット・ザ・リーガル』以来、約5年ぶりに同チャートのトップ10に返り咲きました。
アルバムからのシングルも好調で、特に「スリル・イズ・ゴーン」は驚異的なヒットを記録しました。総合シングル・チャートのBillboard Hot 100では、B.B.キング自身のキャリア最高位となる15位まで上昇。R&Bシングル・チャートでも3位にランクインし、彼の代表曲として広く知られるきっかけとなりました。続くシングル「ソー・エキサイテッド」も、Hot 100で54位、R&Bチャートで14位を記録し、アルバムのセールスに貢献しました。
『コンプリートリー・ウェル』、そして特に「スリル・イズ・ゴーン」は、批評家からも高い評価を受けました。この楽曲は、第13回グラミー賞において最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞を受賞。これはB.B.キングにとってキャリア初のグラミー受賞であり、彼の音楽性に対する重要な評価となりました。また、同曲におけるギター・ソロは、ギター専門誌『Guitar World』が2009年に発表した企画「50 Greatest Guitar Solos」で33位に選ばれるなど、その演奏技術の高さも改めて認識されています。
音楽評論家であるCub Kodaは、オールミュージックのレビューで5点満点中4点の評価を与え、本作が「正にこのアルバムが、世界的にB.B.キングの存在を気付かせ、注目させた」と述べ、その影響力の大きさを強調しました。また、必ずしもB.B.キングの全作品の中で最初に聴くべきものではないかもしれないが、「全作品を集め切るまでの間に立ち寄ってみるのは良い」とも評し、コレクションにおける位置づけを示唆しています。
1. ソー・エキサイテッド (So Excited) (B.B. King, Gerald Jemmott) – 5:34
2. ノー・グッド (No Good) (B.B. King, Ferdinand Washington) – 4:35
3. ユーアー・ルージン・ミー (You're Loosin' Me) (B.B. King, F. Washington) – 4:54
4. ホワット・ハップンド (What Happened) (B.B. King) – 4:41
5. コンフェッシン・ザ・ブルース (Confessin' the Blues) (Jay McShann, Walter Brown) – 4:56
6. キー・トゥ・マイ・キングダム (Key to My Kingdom) (Maxwell Davis, Joe Josea, Claude Baum) – 3:18
7. クライン・ウォント・ヘルプ・ユー・ナウ (Cryin' Won't Help You Now) (Sam Ling, Jules Taub) – 6:30
8. ユーアー・ミーン (You're Mean) (B.B. King, G. Jemmott, Hugh McCracken, Paul Harris, Herbie Lovelle) – 9:59
9. スリル・イズ・ゴーン (The Thrill Is Gone) (Roy Hawkins, Rick Darnell) – 5:30
B.B.キング – ボーカル、ギター
ヒュー・マクラッケン – ギター
ポール・ハリス – ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン
ジェラルド・ジェモット – ベース
ハービー・ラヴェル – ドラムス
バート・デコトー – ストリングス＆ホーン・アレンジ
背景
本作の中でも特に有名な楽曲「スリル・イズ・ゴーン」（The Thrill Is Gone）は、1950年代初頭にブルース・ミュージシャンのロイ・ホーキンスが発表した楽曲をカヴァーしたものです。このアルバムに収録されたヴァージョンでは、プロデューサーであるビル・シムジクのアイデアにより、それまでのB.B.キングのサウンドには少なかったストリングス・アレンジが加えられ、より洗練された印象を与える楽曲に仕上がっています。後にB.B.キングは、1997年のアルバム『デューシズ・ワイルド』で、シンガーソングライターのトレイシー・チャップマンをフィーチャーし、この曲を再びレコーディングしています。
商業的反響
『コンプリートリー・ウェル』は商業的にも大きな成功を収めました。アメリカの主要アルバム・チャートであるBillboard 200では、1970年4月4日付のチャートで最高位となる38位にランクイン。これはB.B.キングにとって初めての全米トップ40入りであり、ポップ市場における認知度を高める上で歴史的な成果となりました。また、『ビルボード』誌のR&Bアルバム・チャートでも最高5位まで上昇し、1965年のライブ盤『ライヴ・アット・ザ・リーガル』以来、約5年ぶりに同チャートのトップ10に返り咲きました。
アルバムからのシングルも好調で、特に「スリル・イズ・ゴーン」は驚異的なヒットを記録しました。総合シングル・チャートのBillboard Hot 100では、B.B.キング自身のキャリア最高位となる15位まで上昇。R&Bシングル・チャートでも3位にランクインし、彼の代表曲として広く知られるきっかけとなりました。続くシングル「ソー・エキサイテッド」も、Hot 100で54位、R&Bチャートで14位を記録し、アルバムのセールスに貢献しました。
評価
『コンプリートリー・ウェル』、そして特に「スリル・イズ・ゴーン」は、批評家からも高い評価を受けました。この楽曲は、第13回グラミー賞において最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞を受賞。これはB.B.キングにとってキャリア初のグラミー受賞であり、彼の音楽性に対する重要な評価となりました。また、同曲におけるギター・ソロは、ギター専門誌『Guitar World』が2009年に発表した企画「50 Greatest Guitar Solos」で33位に選ばれるなど、その演奏技術の高さも改めて認識されています。
音楽評論家であるCub Kodaは、オールミュージックのレビューで5点満点中4点の評価を与え、本作が「正にこのアルバムが、世界的にB.B.キングの存在を気付かせ、注目させた」と述べ、その影響力の大きさを強調しました。また、必ずしもB.B.キングの全作品の中で最初に聴くべきものではないかもしれないが、「全作品を集め切るまでの間に立ち寄ってみるのは良い」とも評し、コレクションにおける位置づけを示唆しています。
収録曲
1. ソー・エキサイテッド (So Excited) (B.B. King, Gerald Jemmott) – 5:34
2. ノー・グッド (No Good) (B.B. King, Ferdinand Washington) – 4:35
3. ユーアー・ルージン・ミー (You're Loosin' Me) (B.B. King, F. Washington) – 4:54
4. ホワット・ハップンド (What Happened) (B.B. King) – 4:41
5. コンフェッシン・ザ・ブルース (Confessin' the Blues) (Jay McShann, Walter Brown) – 4:56
6. キー・トゥ・マイ・キングダム (Key to My Kingdom) (Maxwell Davis, Joe Josea, Claude Baum) – 3:18
7. クライン・ウォント・ヘルプ・ユー・ナウ (Cryin' Won't Help You Now) (Sam Ling, Jules Taub) – 6:30
8. ユーアー・ミーン (You're Mean) (B.B. King, G. Jemmott, Hugh McCracken, Paul Harris, Herbie Lovelle) – 9:59
9. スリル・イズ・ゴーン (The Thrill Is Gone) (Roy Hawkins, Rick Darnell) – 5:30
参加ミュージシャン
B.B.キング – ボーカル、ギター
ヒュー・マクラッケン – ギター
ポール・ハリス – ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン
ジェラルド・ジェモット – ベース
ハービー・ラヴェル – ドラムス
バート・デコトー – ストリングス＆ホーン・アレンジ
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