コンヤ・トラム

トルコのコンヤ市を走る路面電車：コンヤ・トラム

コンヤ・トラムは、トルコ共和国の中心都市コンヤ市を走る路面電車です。1992年の開通以来、コンヤ市民の足として、そして都市の発展を支える重要な交通機関として活躍しています。本稿では、コンヤ・トラムの歴史、車両、そして現在の運行状況について詳しく解説します。

コンヤ・トラムの歴史：馬車鉄道から現代の路面電車へ

コンヤにおける路面電車の歴史は古く、19世紀末、郊外のアナトリア・バクダッド鉄道コンヤ駅と中心部を結ぶ馬車鉄道として誕生しました。1917年には電化工事が実施され、路面電車へと進化を遂げます。しかし、バス交通の発展に伴い利用客が減少、1924年には廃止の憂き目に遭いました。レールは電柱として再利用されたとのことです。

その後、コンヤ市の公共交通機関は自動車が中心となりましたが、1980年代に入ると都市の急激な発展により、道路渋滞が深刻な問題となりました。特に、セルチュク大学への路線バスは慢性的な混雑と燃料費の高騰に悩まされていました。

こうした状況を受け、1983年、コンヤ市議会は新たな公共交通機関として路面電車の建設を決定。ドイツやトルコの企業との協力を得て、1980年代後半から工事が開始されました。そして、1992年4月23日、試運転を開始。同年10月5日には本格的な営業運転を開始し、コンヤ市民に新たな移動手段を提供しました。セルチュク大学への路線延伸は1999年に実現しました。

2015年には4.4kmの路線延伸と2号線の運行開始が実施されました。この延伸区間の一部、特に市内中心部の歴史地区を走る1.8kmは、架線レス区間となっています。この架線レス区間を走行できるよう、新たに導入された車両にはリチウムイオン二次電池が搭載されています。

現在のコンヤ・トラム：路線網と車両

2021年現在、コンヤ・トラムは全長25.5kmの路線網を有し、2系統が運行されています。運行車両は、チェコのシュコダ・トランスポーテーション社製の超低床電車フォアシティ・クラシック（28T）です。5車体連接車で、ハンガリーのミシュコルツ市電で使用されている車両をベースに開発されました。2021年時点で72両が在籍し、そのうち12両は架線レス区間走行に対応した充電システムを搭載しています。

過去の車両と技術革新

コンヤ・トラム開業当初は、ドイツのケルン市電から譲渡されたデュワグカー（3車体連接車）が使用されていました。近代化工事を経て長年活躍しましたが、シュコダ製車両の導入に伴い運用を離脱し、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォ市電へ譲渡されました。

コンヤ・トラムは、歴史的背景と最新の技術革新を融合させた、現代的な路面電車システムです。今後も、コンヤ市の発展と共に、その役割を担い続けることでしょう。

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