コンラート2世 (ケルンテン公)

ケルンテン公コンラート2世：ザーリアー家の若き公爵の生涯

ケルンテン公コンラート2世（通称：若公）は、ザーリアー家の一員として、10世紀末から11世紀にかけて激動の時代を生きた人物です。彼はケルンテン公およびヴェローナ辺境伯という要職を歴任し、当時の神聖ローマ帝国の政治に深く関与しました。本稿では、コンラート2世の生涯を辿りながら、彼の功績と時代背景を詳細に解説します。

生い立ちと家督相続

コンラート2世は、990年頃にケルンテン公コンラート1世とシュヴァーベン公ヘルマン2世の娘マティルデの間に生まれました。父の死後、若年であったためケルンテン公位はアダルベロ・フォン・エッペンシュタインに与えられましたが、ザーリアー家の領地であるナーエガウ、シュパイアーガウ、ヴォルムスガウの伯領を相続しました。この頃、ザーリアー家はまだその名を確立しておらず、コンラート2世の時代から徐々に勢力を拡大していきます。

政治的台頭と王位継承争い

1024年、皇帝ハインリヒ2世が崩御すると、コンラート2世はドイツ王の候補者の一人として名前が挙がります。しかし、彼は従兄のコンラート（後の皇帝コンラート2世）のためにその権利を放棄し、王位継承を支援しました。この背景には、ケルンテン公位の継承を約束されたという事情があったと考えられています。しかし、その後も二人のコンラートの間には対立が生じ、最終的にはコンラート若公が皇帝コンラート2世に服従するという形で決着しました。

ケルンテン公としての統治と晩年

1035年、アダルベロ・フォン・エッペンシュタインが反乱を起こしケルンテン公位を剥奪されると、コンラート若公がその後任としてケルンテン公に任命されました。彼は皇帝コンラート2世のイタリア遠征にも参加し、ミラノ大司教アリベルトの拘留に携わりました。しかし、アリベルトはすぐに逃亡し、コンラート2世もその直後の1039年に死去しました。ヴォルムス大聖堂に両親と共に埋葬され、ケルンテン公位は従兄コンラート2世の息子ハインリヒ3世が継承しました。

子孫と後世への影響

コンラート2世が結婚したという記録はありませんが、クノという息子がいたという記録が残っています。クノはブルッフザールをハインリヒ4世に売却したとされていますが、当時のブルッフザールは教会の所有であったため、クノはシュパイアー司教コンラートの息子であった可能性も指摘されています。

コンラート2世の生涯は、ザーリアー家が台頭していく過程における重要な一局面を映し出しています。彼はケルンテン公として地域を統治し、神聖ローマ帝国の政治にも深く関与しました。彼の功績は、ザーリアー朝の隆盛に貢献し、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

まとめ

ケルンテン公コンラート2世は、ザーリアー家の若き公爵として、激動の時代を生き抜きました。王位継承争いやケルンテン公としての統治など、彼の生涯は政治的な駆け引きと権力闘争に彩られています。彼の功績は、ザーリアー朝の隆盛に貢献し、後世に大きな影響を与えました。コンラート2世の生涯を知ることは、中世ヨーロッパの政治史を理解する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

参考文献
* Wolfram, Herwig (2015). "Conrad II (990-1039), the First Medieval Emperor of Three Kingdoms". In Halfond, Gregory I. (ed.). The Medieval Way of War: Studies in Medieval Military History in Honor of Bernard S. Bachrach. Ashgate Publishing, Ltd.

もう一度検索