コーカンド

コーカンド：シルクロードの古都、歴史と文化が交差する街

コーカンド（Kokand）は、ウズベキスタン共和国のフェルガナ州に位置する都市です。フェルガナ盆地の南西端に位置し、周辺の主要都市からのアクセスも比較的容易です。古くから「風の街」「猪の街」という愛称で親しまれてきました。

歴史

コーカンドの歴史は古く、少なくとも10世紀には存在が確認されており、シルクロードのキャラバンルートの重要な拠点として機能していました。13世紀にはモンゴル軍の侵攻により破壊されましたが、その後復興を遂げました。

16世紀から17世紀にかけては、ブハラ・ハン国の支配下にありましたが、その後、ウズベク系のコーカンド・ハン国の首都として19世紀前半に最盛期を迎えました。この時代、コーカンドは政治、経済、文化の中心地として繁栄しました。

19世紀後半にはロシア帝国の勢力が拡大し、1876年にロシア軍によって占領され、ロシア領トルキスタンの一部となりました。その後、1917年から1918年のロシア内戦期には、反ボルシェビキ勢力によるトルキスタン自治政府の首都が置かれましたが、短期間で崩壊しました。

第二次世界大戦後、コーカンドには第36収容地区（グラーグ）が設置され、シベリア抑留を受けた日本人捕虜の一部が送られました。過酷な環境下で亡くなった人々のために、日本人墓地が作られています。

観光

コーカンドの見どころは、コーカンド・ハン国の王宮です。1873年に建設された王宮は、ロシア軍の占領時に破壊されましたが、その後修復され、1925年に博物館として公開されました。王宮は、当時のコーカンド・ハン国の繁栄ぶりを今に伝える貴重な文化遺産です。

また、市内には大きなミナレットが特徴的なジュマ・モスクや、1799年に建設されたナルブタベイ・マドラサ（神学校）など、歴史的な建造物が点在しています。

コーカンドは、シルクロードの歴史と文化が息づく魅力的な都市です。かつての繁栄を偲ばせる建造物や、激動の歴史を物語る史跡を巡りながら、中央アジアの奥深い魅力を感じてみてください。

近年は観光客が少ないですが、フェルガナ盆地を訪れる際には足を伸ばして見てはいかがでしょうか。

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