コースト・ウォッチャーズ

コースト・ウォッチャーズの歴史

コースト・ウォッチャーズ（沿岸監視員）及びその関連組織は、第二次世界大戦中に連合国軍が太平洋の離島で展開した情報収集ネットワークの一環です。彼らは主に敵軍の動向を監視し、取り残された連合軍兵士を救助するための任務を負っていました。この組織は、オーストラリア軍の士官やニュージーランドの退役軍人、先住民、そして逃げた連合軍捕虜から構成され、約400名から800名に及ぶ人員が参加していました。

組織化の背景

第一次世界大戦が始まった1914年頃から、オーストラリアは日本の軍事的台頭を警戒し始め、これが後のコースト・ウォッチャーズの基盤となる意識を形成しました。日本を敵視する中、オーストラリア海軍は防衛のための情報網を整備する意図を強め、情報収集とスパイ活動に熱心に取り組んだのです。特に、1918年からの日本人に関する報告書は、その後の日本の戦争行為に対する恐れを一層強めるものとなりました。

コースト・ウォッチャーズの設立に際しては、人選と業務の実施要領の策定が課題でした。候補者には警官や民間パイロット、宣教師などが挙げられ、遠隔地との通信手段を確保するため、中波無線機が採用されました。これにより、最大600マイルの距離まで情報を発信できる体制が整備されたのです。

活動内容

コースト・ウォッチャーズは、ガダルカナルの戦いを含む南西太平洋地域での様々な作戦において重要な役割を果たしました。彼らは日本軍の行動を監視し、得られた情報はアメリカ軍やオーストラリア軍に提供されました。特に、ガダルカナル島では、現地の住民と協力しながら敵の後方から情報を収集することができました。

海軍の情報将校が各拠点での情報解析を行い、連合軍にフィードバックする体制も確立されました。これにより、戦局において重要な意思決定を支える情報が生まれたのです。

重要なエピソード

コースト・ウォッチャーズの活動の中で、特に著名なエピソードは、アメリカ海軍中尉ジョン・F・ケネディの救助です。1943年、彼の艇PT-109が沈没し、エヴァンズ中尉が発見したことで、ケネディは無事に救助されました。この出来事は後に、ケネディが大統領に就任した際にエヴァンズをホワイトハウスに招待するきっかけとなりました。

また、ガダルカナルの戦いでは、リードとメイスンの監視員が日本軍の動きを早期に発見し、その報告が米軍の航空攻撃に繋がったケースもありました。これにより、日本軍の侵攻を未然に防ぐ重要な情報提供が行われたのです。

戦後の影響

終戦後、コースト・ウォッチャーズの活動はオーストラリアでの沿岸警備の重要性を認識させる結果となりました。エリック・フェルド少佐は、戦時中の経験をまとめた著書『The Coastwatchers』を出版し、彼らの貢献が広く知られることになりました。

日本側は戦争中にはコースト・ウォッチャーズの存在を把握できていなかったものの、戦後の研究によってその実態が明らかになりました。また、同様の監視システムを日本でも構築する動きがありましたが、戦後の日本では民間による監視が主流となりました。

さらに、冷戦時代にも沿岸監視が議論され、防衛戦略の一環として重要視されました。今日でも、オーストラリアでは不法入国対策を強化する形で、元のコースト・ウォッチャーズの役割を引き継いだ組織が存在しています。

コースト・ウォッチャーズの歴史は、情報戦の重要性と民間協力の可能性を示すものとして、今後も多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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