コーニス

コーニスとは

コーニス（Cornice）とは、建物や壁の上部に設けられた水平な突起部であり、特にエンタブラチュアとして知られる、柱に支えられた部分の上方に位置する傾斜した形態のものを指します。この言葉は、イタリア語の「cornice（コルニーチェ）」から派生し、「水平の出っ張り」を意味します。コーニス・モールディングは主に、建物や家具の頂部を飾るために使われる装飾的な部分で、たとえばドアや窓の上部、または台座の縁を飾る際に用いられます。

コーニスの機能

コーニスは、雨水が建物の壁に直接当たるのを防ぐ重要な役割を担っています。住宅においては、切妻や軒の庇がその機能を果たしています。また、モダニズム建築ではしばしばコーニスが省略される傾向があり、その代わりに効果的な内部排水システムが設けられます。

古典建築におけるコーニス

古典建築では、コーニス・モールディングは神殿や建物の頂部に設けられ、エンタブラチュアの上に位置しています。この構造は、フリーズ（装飾帯）のさらに上に配置され、全体が柱によって支えられます。特に、傾斜したコーニス、いわゆる「レイキング・コーニス」や「レイク・ボード」は、三角形のペディメントの頂上に広がっており、アクロポリスのパルテノン神殿やカルル・フリードリッヒ・シンケルの劇場などに見られます。

古典様式とコーニスの特徴

古典的な建築スタイルには、ドーリア式、イオニア式、コリント式などがあります。それぞれ異なる特徴を持つコーニスが存在し、これらのスタイルはデザインにおいて注目されます。

• - ドーリア式のコーニス: 水平なゲイソンに独特の装飾を施しており、下部には矩形のムトゥルス（水平の梁）が並んでいます。これらのムトゥルスは、水平と垂直の要素を組み合わせることで、建物全体に統一感をもたらします。

• - イオニア式とコリント式のコーニス: これらはドーリア式に比べ、装飾性が非常に高く、モールディングが特徴的です。特にコリント式は、精緻な装飾が施されています。

ゲイソンの役割

ゲイソン（古代ギリシャ建築の用語）は、主にフリーズの上部から外へ突き出す部分を示し、コーニスに相当します。これは、屋根の外縁を形成し、外部要素から建物を防護する役割を果たします。ゲイソンの上には通常シマと呼ばれる上向きの装飾が走ります。その下はソフィットと呼ばれ、しばしば装飾的な機能を持っています。特に、外縁が鷹の嘴のように突き出るデザインが多く見られ、それは建物の年代を示す一因ともなっています。

水平と傾斜ゲイソン

水平なゲイソンは、エンタブラチュアの外周を走り、雨水が建物内部に入るのを防ぎます。また、傾斜したゲイソンは神殿や劇場などの建物に見られ、ペディメントの頂部を飾る重要な要素です。これらの部分は、装飾が少なく、通常は明確なムトゥルスが存在しません。ただし、装飾的な仕上げが施されることが多く、その役割は雨水を適切に流すことでもあります。

コーニスやゲイソンは、古典建築におけるデザインの美しさだけでなく、その機能的な側面も併せ持つ重要な要素です。

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