パルテノン神殿

パルテノン神殿

パルテノン神殿（パルテノンしんでん、希: Παρθενών）は、古代ギリシャ時代にアテネのアクロポリス上に築かれ、ギリシャ神話の女神アテーナーを奉納するための神殿です。紀元前447年に建築が開始され、紀元前438年に完成しました。その後、装飾などの作業が紀元前431年まで続けられました。パルテノン神殿は古代ギリシャ建築の中で最も重要なドーリア式建造物であり、今もなおその美しさを保持しています。特に、その装飾彫刻は古代の芸術の傑作とされています。

この神殿はアテネの象徴であり、世界的な文化遺産としてユネスコの世界遺産に登録されています。元々のパルテノンはペルシア戦争の際に破壊された古いアテーナーの神殿を再建したもので、アクロポリス内の他の神殿とともにアテナイ初の国庫機能を持っていました。その後、この神殿はキリスト教会堂としても利用され、オスマン帝国統治下ではモスクに改築されました。

呼称の由来

「パルテノン」という名称はギリシャ語で「処女宮」を意味し、神殿内には特別な部屋があったとされています。その部屋の正確な位置や由来には諸説あり、古典ギリシャ語辞典に基づくと西側に配置されていたと言われています。これは、アテーナー・パルテノス（処女のアテーナー）への信仰が個別の崇拝から発展したことを示唆しています。

建設の背景

パルテノン神殿の建設開始はマラトンの戦いの後で、古い神殿が破壊された後に行われました。ペリクレスは当時のアテネを文化的な中心にしようとし、アクロポリス内の重要な建築物の建設を指揮しました。建築家イクティノスとカリクラテスの指導のもと、彫刻家ペイディアスが装飾を施しました。紀元前432年にはほぼ完了しましたが、装飾作業はさらに続けられました。

この神殿はドーリア式建築の頂点であり、特に円柱のデザインや全体のバランスが評価されています。スタイロベートの湾曲やエンタシスの円柱は光の効果を考慮したもので、視覚的な錯覚を生み出しています。

彫刻と装飾

パルテノン神殿には72枚の高浮かし彫りメトープがあり、神々やヒーローたちの戦いの様子を表現しています。さらに、フリーズとペディメントも神殿の特徴的な装飾要素で、特に東ペディメントではアテナの誕生が描かれています。

宗教的な役割

古代ギリシャにおいて、パルテノン神殿は宗教的な役割に留まらず、アテナイの示威としても機能していました。その戦勝記念の意味合いから、神殿には勝利の象徴が刻まれ、多くの彫刻がこのテーマを表現しています。特に、周囲の敵や異民族に対するアテーナの勝利が強調されていました。

歴史の変遷

神殿は時代を経て形を変え、キリスト教の聖堂やオスマン帝国のモスクとして使われました。ヴェネツィア共和国の攻撃や火薬庫の爆発によって苦しい歴史を辿り、その破壊の跡は今も残っています。

近代における保存と保全

ギリシア政府は1975年から修復作業に取り組んでおり、建材やデザインを再考しながら修復が進められています。発掘された彫刻や残存部分はアクロポリス博物館に移され、重要な文化遺産として保護されています。パルテノン神殿は今や、古代の偉大な遺産として多くの観光客を引き寄せています。

このようにパルテノン神殿は、その建築的美しさだけでなく、歴史的背景や文化的意義によっても称賛され続けています。

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