コーラ (植物)

コーラ（Cola）について

コーラ（学名: Cola）は、アフリカの熱帯雨林に自生するアオイ科に属する植物の総称です。この植物は約125の異なる種からなり、主に西アフリカに分布しています。コーラの木は、通常8〜15メートルの高さに成長し、常緑樹として知られています。特に有名なのは、コラノキ（C. nitida）とヒメコラノキ（C. acuminata）という2つの種です。

コーラの木の幹は直立しており、その花は星形で、薄い黄白色の花弁に茶色の線が放射状に広がります。また、果実は約15センチメートルほどの大きさがあり、最初は緑色ですが、熟すと茶褐色になり、殻が割れて中の赤または白色の種子が現れます。この種子にはカフェインや興奮性物質が多く含まれており、その成分がコーラ・ナッツとして利用されています。

コーラ・ナッツの利用

コラノキの種子は「コーラ・ナッツ」として知られ、小さな粒状の形をしています。これらには2〜2.5%のコラチン、つまりカフェインの一種と0.02%のテオブロミンが含まれており、古くから興奮剤としてアフリカで利用されてきました。コーラ・ナッツは乾燥され粉末状にされて水に溶かし、砂糖やミルクを加えて飲むことが一般的です。主な生産地域はガーナとブラジルです。

ヒメコラノキからもコーラ・ナッツを得ることができ、これが真正のコーラであるとする説も存在します。コーラ・ナッツは嗜好品として楽しまれ、特に西アフリカでは社交の場に頻繁に登場します。多くの場面で族長やゲストに供され、一口噛むことで渋味を感じながらも空腹感を紛らわせるのです。しかし、コーラ・ナッツを長期的に使用すると、歯にステインがつくことがあります。

また、コーラ・ナッツを噛む習慣がある西アフリカでは、最初は苦味を感じるものの、次第に甘みが増し、精神的な明るさをもたらすとされています。ただし最近では、特に若者の間ではこの習慣が減少していると言われています。

コーラの歴史

コーラの実は古くから土着文化の中で重要な役割を果たしてきました。特に、飢餓や渇きを和らげるとされ、大西洋を渡る奴隷船では、傷んだ水にコーラの粉を加えたこともありました。17世紀までにはカリブ海や南北アメリカに広がり、奴隷たちは故郷を懐かしんでコーラの実を食べることもありました。そのため、コーラは単なる食物ではなく、社会的な象徴ともなっていました。

また、西アフリカでは赤ちゃんが生まれると、へその緒とコーラの種子を地中に埋める風習が残っており、これは文化的な重要性を物語っています。

イスラム教とコーラ・ナッツ

イスラム文化の中では、多くの嗜好品が禁じられていますが、コーラ・ナッツは唯一許可された興奮剤です。そのため、コーラの原産地ではほとんど消費されず、サハラ交易等で主に取引される商品作物となっていました。

コーラの原材料と現代の利用

今日では、炭酸飲料として知られるコーラの名前はコーラ・ナッツに由来しています。アメリカでは1880年代に初めてコカ・コーラに使用され、その後、現在の大手飲料メーカーはコーラ・ナッツを使用せず香料で代用しています。ただし、クラフトコーラの中には、当時のレシピを再現しコーラ・ナッツのエキスを使用する製品も存在します。

コーラはアフリカ文化の一部として長い歴史を持ち、それ自体が栽培され、交易されてきた食材であることを思い出させます。

もう一度検索