コールドストリームガーズ

コールドストリームガーズ：世界最古の現役歩兵連隊

コールドストリームガーズ（Coldstream Guards）は、イギリス陸軍を代表する近衛歩兵連隊です。その歴史は1650年にまで遡り、イングランド共和国の歩兵連隊として創設されました。現在も現役として活動しており、世界最古の現役連隊としてその名を知られています。

創設と初期の歴史

1650年4月23日、ジョージ・モンクによってスコットランドのコールドストリームで設立されたこの連隊は、当初は「モンクの歩兵連隊」と呼ばれていました。清教徒革命期の混乱の中、議会派として数々の戦いを経験します。ダンバーの戦い（1650年）で初陣を飾り、その後は第一次英蘭戦争にも参戦。モンク将軍に従い、艦隊に乗り組み、幾つかの海戦にも参加しました。

王政復古と近衛連隊への昇格

1660年の王政復古後、モンク将軍はチャールズ2世をイングランドへ迎え入れる立役者となり、この際に「モンクの歩兵連隊」はコールドストリームに駐留していました。チャールズ2世と共にロンドンへ入城したことで、現在の名称である「コールドストリームガーズ」の名称と、コールドストリームからの兵士の優先採用という伝統が受け継がれることとなります。その後、近衛連隊に昇格し、「ロードジェネラルズ近衛歩兵連隊」と命名されましたが、後に「コールドストリーム近衛歩兵連隊」と改名。 既に存在した近衛歩兵連隊との序列争いを経て、独自の地位を確立していきます。 モットーである「Nulli Secundus（何物にも劣る事無し）」は、この歴史を象徴しています。

戦歴

コールドストリームガーズは、王政復古以降、多くの戦役に参加し、輝かしい戦功を挙げてきました。1680年のタンジール遠征から始まり、ナポレオン戦争におけるワーテルローの戦いでの活躍は特に有名です。ウーグモン館の死守は、連合軍の勝利に大きく貢献しました。

1815年のワーテルローの戦いでは、ウーグモン館の死守に大きな役割を果たしました。フランス軍の猛攻にも耐え抜き、この防御拠点の維持は、連合軍の戦術的勝利に貢献しました。また、クリミア戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦など、数々の戦争で勇敢に戦い抜きました。その功績は、多数のヴィクトリア十字章とジョージ・クロス受賞者によって示されています。

編成と制服

コールドストリームガーズは、長きにわたり2個大隊体制を基本としてきました。 第一次・第二次世界大戦時には増設大隊が編成され、冷戦期にはドイツやアイルランドなどに駐屯。近年はアフガニスタンなどにも派遣されています。 また、独特の制服は、赤いチュニックと濃紺のズボン、特徴的なベアスキン帽が象徴的です。上着のボタンの配置と帽子の羽根飾りは、他の近衛歩兵連隊と区別する重要な識別要素となっています。

現在

現在もコールドストリームガーズは、ロンドンでの衛兵交代式など儀仗任務や海外派遣任務に従事しています。第7中隊は、これらの任務の中枢を担っています。連隊本部は、ロンドンのウェリントン・バラックスに置かれています。

参考文献

W Y Carman; Richard Simkin (1985). Richard Simkin's Uniforms of the British Army : Infantry, Royal Artillery, Royal Engineers and other corps. Exeter, England: Webb & Bower. ISBN 978-0-86350-031-2
David Griffin (1985). Encyclopaedia of modern British Army regiments. Wellingborough: P. Stephens. ISBN 978-0-85059-708-0
* 以下、本文中に記載されている参考文献リストをここに展開する。

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