コール・オブ・クトゥルフ

コール・オブ・クトゥルフ：隠された真実の探求

Cyanide Studioが開発した『コール・オブ・クトゥルフ』（Call of Cthulhu）は、テーブルトークRPG『クトゥルフ神話TRPG』の世界観をベースにしたサスペンスアドベンチャーゲームです。Microsoft Windows、PlayStation 4|PlayStation_4、Xbox One、Nintendo Switchといった複数のプラットフォームで発売され、プレイヤーは私立探偵エドワード・ピアースとして、不可解な事件の謎解きに挑みます。スリリングなストーリー、巧妙な謎解き、そして潜入要素が絶妙に融合した、まさにクトゥルフ神話の世界観を体現した作品と言えるでしょう。

ゲームシステム：スキルと正気度の狭間で

本作では、プレイヤーは探偵エドワード・ピアースを操作し、様々な場所を探索、調査します。ただし、ピアース一人だけで事件の全貌を解き明かすわけではありません。物語の進行に応じて、操作キャラクターが変わる場面もあり、事件に深く関わる様々な人物と出会い、協力したり対立したりしながら真相に近づいていきます。

ゲームの根幹を成すのは、キャラクターのスキルシステムです。プレイヤーは獲得したキャラクターポイント（CP）を、「調査」「筋力」「話術」「目星」「心理学」「オカルト」「医学」といった7つのスキルに割り振って強化していきます。それぞれのスキルは、事件の解決に大きく影響します。例えば、「調査」スキルが高いと、証拠品から過去の出来事をより深く理解できるようになり、「話術」スキルが高いと、人から情報を聞き出すのが容易になります。どのスキルを重点的に強化するかは、プレイヤーの戦略と、ストーリー展開に大きく影響を与えます。

また、本作の特徴的な要素として「正気度（SAN値）」があります。クトゥルフ神話の世界において、プレイヤーは想像を絶する恐怖に遭遇し、正気度が減少していく可能性があります。正気度が低下すると、ゲーム内の視界が歪んだり、幻覚を見たりするなど、プレイヤーの感覚が狂っていく様子が表現されます。極端な場合は発狂してしまうこともありますが、正気を失うことで見えてくる真実もあるという、独特のゲーム性も持ち合わせています。

ストーリー：ダークウォーター島の暗雲

舞台となるのは、アメリカのダークウォーター島という、かつて捕鯨で栄えたものの現在は衰退した漁村です。ホーキンス一家が全焼した火災事件を皮切りに、プレイヤーは事件の真相解明に挑みます。警察はサラ・ホーキンスの狂気に起因する事故と結論づけていますが、彼女の父親であるスティーブン・ウェブスターは、その結論に納得せず、私立探偵であるエドワード・ピアースに調査を依頼します。

ピアースは、閉鎖的な村社会の住民から疑いの目を向けられながらも、島で起こった様々な出来事を調査していきます。彼は、ホーキンス邸の残骸や住民たちの証言を手がかりに、想像を絶する恐ろしい真実へと近づいていきます。

登場人物：個性豊かなキャラクターたち

本作には、個性豊かな登場人物が数多く登場します。主人公のエドワード・ピアースは、第一次世界大戦で負ったトラウマを抱え、閉所恐怖症と不眠症、アルコール依存に苦しむ私立探偵です。彼は、仕事量は少なく、堕落した生活を送っており、事務所からの解雇も危惧されています。彼を支える、あるいは対立する様々なキャラクターとの出会いが、物語を複雑で奥深いものへと発展させていきます。

その他の主要人物には、リバーサイド病院の医師マリー・コールデン、警察官イーサン・ブラッドリー、密売人の女頭領キャサリーン・ベイカー、骨董商アルジャーノン・ドレイクなどがいます。彼らはそれぞれに秘密を抱え、ピアースの捜査に協力したり、妨害したりします。さらに、ホーキンス一家や島民といった、様々な人物が登場し、物語に深みを与えています。

評価：クトゥルフ神話の世界観を見事に表現

本作は、大型タイトルと比較するとUIやシステム面では若干の粗さが見られるものの、クトゥルフ神話TRPGのルールや世界観を忠実に再現している点が評価されています。ステルスシステムは比較的難易度が低く設計されているため、ゲーム初心者でもプレイしやすい点が特徴です。また、コンピュータゲームという媒体を活かし、現実離れした恐怖や、正気を失っていく感覚を見事に表現している点も高く評価されています。

まとめ：恐怖と推理の融合

『コール・オブ・クトゥルフ』は、クトゥルフ神話の独特な世界観と、スリリングなストーリー、そして謎解きと潜入要素が融合した、傑作アドベンチャーゲームです。正気度というシステムを通して、プレイヤーは恐怖と隣り合わせで調査を進め、徐々に明らかになる恐るべき真実、そして、自分自身の精神状態の変化を体験することになります。クトゥルフ神話を愛するプレイヤー、そして、本格的な推理アドベンチャーゲームを求めるプレイヤーにとって、まさに必見の作品と言えるでしょう。

もう一度検索