ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR

『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』

概要

『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』は、1976年に公開された柳町光男監督の長編デビュー作です。この作品は、実在した暴走族「ブラックエンペラー」新宿支部のメンバーとその周辺の人々を追ったドキュメンタリー映画です。従来のドキュメンタリーとは異なり、ナレーションはほとんどなく、登場人物たちの日常を淡々と映し出すことで、彼らの生活や心情を浮き彫りにしています。暴走行為や集会の様子だけでなく、家族や友人との会話など、彼らの多様な側面が描かれています。

制作背景

柳町光男監督は、東映教育映画で助監督として活動していた頃、霊友会のPR映画の制作に携わったことがきっかけで暴走族と接触を持つようになり、彼らを題材としたドキュメンタリー映画を制作したいと考えるようになりました。この背景には、原一男監督の『極私的エロス 恋歌1974』からの影響も大きかったとされています。1974年秋に東映教育映画を退社後、プロダクション群狼を設立し、自主制作という形で本作の制作に乗り出しました。資金面では、自身で400～500万円を集め、困難な状況の中での制作となりました。

上映と反響

当初、柳町監督は自らホールと交渉し、安田生命ホールでの小規模公開からスタートしました。しかし、その評判は口コミで広がり、中野公会堂などでも自主上映が行われるようになりました。観客の多くは暴走族の若者たちで、上映会場には本物の暴走族が集結するという異様な光景も見られました。この状況が大きな反響を呼び、柳町監督の古巣である東映が本作を買い上げ、劇場公開用の35mmフィルムにブローアップし、東映系の劇場で三本立てで公開されることとなりました。

同時上映作品

劇場公開時には、以下の2作品と同時上映されました。

『暴走の季節』 監督：石井輝男、主演：岩城滉一
『暴力教室』 監督：岡本明久、主演：松田優作

作品の影響

本作に出演したメンバーの中で、柳町監督が最も俳優向きだと感じていた本間優二は、その後も柳町監督と交流を続けていました。柳町監督が次作『十九歳の地図』を制作する際、なかなかイメージに合う俳優が見つからなかったため、本間優二を説得し、主演に起用しました。これにより、本間優二は俳優としてのキャリアを歩み始めることとなりました。

スタッフ

製作：プロダクション群狼
監督：柳町光男
撮影：岩永勝敏、横山吉文、塚本公雄、杉浦誠、明石太郎
出演：ブラックエンペラー（役者名はクレジットされていません）

脚注

注釈


出典

外部リンク

ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR - allcinema
ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR - KINENOTE

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