ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜

ザ・ビーチ・ボーイズ『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』

『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』（That's Why God Made the Radio）は、ザ・ビーチ・ボーイズが2012年にリリースしたスタジオ・アルバムです。特筆すべきは、全曲新曲で構成されたアルバムとしては、実に20年ぶりの作品であるという点です。このアルバムは、彼らのメジャー・デビュー50周年を記念して制作されました。

制作背景

2011年12月16日、ザ・ビーチ・ボーイズは公式サイトを通じて、ブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストン、デヴィッド・マークスという往年のラインナップでの再結成を発表しました。再結成に先立ち、彼らは1968年のヒット曲「恋のリヴァイヴァル」を再録音しています。ブルース・ジョンストンは、このセッションを「新曲制作に向けた準備体操」と表現しました。

「恋のリヴァイヴァル」の再録音バージョンは、2012年5月1日にウォルマート限定で発売された『Limited Edition 50th Anniversary Collection 'ZinePak』に付属するCDに収録されました。このZinePakは、72ページの冊子、絵葉書、そして11曲入りのCDで構成されています。また、この再録音バージョンは、本作『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜』の日本盤CDにもボーナス・トラックとして収録されています。

アルバムのタイトル曲「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」は、実は1998年に作られた楽曲です。ブライアン・ウィルソン、ジョー・トーマス、ラリー・ミラス、ジム・ピートリック（元サバイバー）の4人が共作しました。その後、マイク・ラヴも加わり、新曲「今がその時」が新たに書き下ろされました。ミラスとピートリックは、「今がその時」のレコーディングにも参加しています。

「スプリング・ヴァケーション」は、ブライアン・ウィルソンがソロ・アルバム『イマジネーション』（1998年）制作時にジョン・トーマスと共作した未発表曲「レイ・ダウン・バーデン」が原型となっています。その後、マイク・ラヴが歌詞の一部を追加しました。また、「海に輝く夜明け」は、マイク・ラヴが自身のソロ・アルバムのために1970年代に制作した未発表曲です。

アル・ジャーディンは、カール・ウィルソン（1998年没）のボーカル録音が残されていた自作曲「ウェイヴス・オブ・ラヴ」をアルバムに提供しようとしましたが、収録は見送られました。この曲は、ジャーディンのソロ・アルバム『A Postcard from California』（2010年）が2012年4月に再発された際、ボーナス・トラックとして収録されています。

リリースとツアー

アルバムのリリースに先駆けて、ザ・ビーチ・ボーイズは2012年4月24日にアリゾナ州ツーソンで50周年記念ツアーを開始しました。この公演では、「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」も新曲として演奏されました。4月25日には、第1弾シングル「ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜」が、ESPNラジオの番組「マイク・アンド・マイク・イン・ザ・モーニング」で初めてオンエアされました。

演奏メンバー

デヴィッド・マークスを除く4人のオリジナルメンバーは、ボーカル・コーラスに専念しました。演奏は、ジェフリー・フォスケット（ビーチ・ボーイズのツアー・メンバー）、ダリアン・サハナジャ、スコット・ベネットらブライアン・ウィルソンのバックバンドに加え、ジョン・カウシルやスコット・トッテンといった現ビーチ・ボーイズのツアー・メンバーが担当しました。このビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソン・バンドによる合同バンドは、4月から9月にかけて行われた50周年記念ツアーにも参加しています。

反響と評価

アルバムは、アメリカのBillboard 200で3位を獲得し、ザ・ビーチ・ボーイズのアルバムとしては『15・ビッグ・ワンズ』（1976年）以来、36年ぶりのトップ10入りを果たしました。ザ・ビーチ・ボーイズは、1963年のアルバム『サーフィン・U.S.A.』から通算49年と1週間にわたりBillboard 200でトップ10入りしており、ビートルズの記録（47年7か月3週間）を抜いて、グループ部門では史上最長の記録を樹立しました。

ノルウェーでは、2012年第24週のアルバム・チャートで初登場8位となり、同国においてはベスト・アルバム『Pure Gold』（1995年）以来、17年ぶりのトップ10ヒットとなりました。

Allmusicのジョン・ブッシュは、5点満点中3.5点を付け、「彼らは確かに、ここ35年来のザ・ビーチ・ボーイズにとって最高傑作と言えるレコードを結束して作り出しており、驚くほど一枚岩で思慮深く聴きやすい」と評価しています。

収録曲

CD

1. あの頃に… - "Think About the Days"
2. ゴッド・メイド・ザ・ラジオ〜神の創りしラジオ〜 - "That's Why God Made the Radio" (Brian Wilson, Joe Thomas, Jim Peterik, Larry Millas)
3. 今がその時 - "Isn't It Time" (B. Wilson, Mike Love, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas)
4. スプリング・ヴァケーション - "Spring Vacation" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
5. ビルとスーの私生活 - "The Private Life of Bill and Sue"
6. シェルター - "Shelter"
7. 海に輝く夜明け - "Daybreak Over the Ocean" (M. Love)
8. 心のビーチ - "Beaches in Mind" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
9. ストレンジ・ワールド - "Strange World"
10. バック・アゲイン - "From There to Back Again"
11. パシフィック・コースト・ハイウェイ - "Pacific Coast Highway"
12. 過ぎゆく夏 - "Summer's Gone" (B. Wilson, J. Thomas, Jon Bon Jovi)

日本盤ボーナス・トラック

13. 恋のリヴァイヴァル（2012ヴァージョン） - "Do It Again (2012 version)" (B. Wilson, M. Love)

LP

Side A

1. "Think About the Days"
2. "That's Why God Made the Radio" (B. Wilson, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas)
3. "Isn't It Time" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas, J. Peterik, L. Millas)
4. "Spring Vacation" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
5. "Beaches in Mind" (B. Wilson, M. Love, J. Thomas)
6. "Daybreak Over the Ocean" (M. Love)

Side B

1. "Shelter"
2. "The Private Life of Bill and Sue"
3. "Strange World"
4. "From There to Back Again"
5. "Pacific Coast Highway"
6. "Summer's Gone" (B. Wilson, J. Thomas, J. Bon Jovi)

参加ミュージシャン

ブライアン・ウィルソン - ボーカル
マイク・ラヴ - ボーカル
アル・ジャーディン - ボーカル、ホイッスル
ブルース・ジョンストン - ボーカル
* デヴィッド・マークス - ギター

アディショナル・ミュージシャン

(上記リストは省略)

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