ゴフ島

ゴフ島：南大西洋の秘境、世界自然遺産

ゴフ島は、南大西洋に位置する火山島で、イギリス領セントヘレナ・アセンションおよびトリスタンダクーニャの一部を構成しています。トリスタンダクーニャから南東へ約350kmの孤島であり、その手つかずの自然から1995年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。

独自の生態系

ゴフ島は、面積65平方キロメートルほどの小さな島ですが、驚くほど多様な動植物が生息しています。特に、固有種の飛べない鳥類であるゴフバンやゴーフフィンチは、この島でしか見られない貴重な存在です。他にも、ススイロアホウドリ、キタイワトビペンギン、ニシキバナアホウドリ、ズキンミズナギドリ、ゴウワタリアホウドリなど、22種もの鳥類が繁殖地としてゴフ島を利用しており、周辺海域にはロブスターの一種であるJasus paulensisなども生息しています。さらに、2種のアザラシも生息し、陸地には泥炭地、淡水の池、小川、そして変化に富んだ海岸線が展開しています。これらの多様な生態系から、2008年にはラムサール条約登録地にも指定されています。

歴史と現状

ゴフ島は1505年頃にポルトガル人によって発見され、その後、1731年にイギリス船の船長チャールズ・ゴフによって再発見されたことから、現在の名前が付けられました。1800年代にはアザラシやクジラの捕獲が行われましたが、永住者はなく、科学者による調査が断続的に行われていました。1938年にイギリス領となり、1955年にはイギリスの科学者によって気象観測所が設立され、現在も観測が続けられています。島には定住者はなく、観測所の職員が居住するのみで、無人島として扱われています。

保全への取り組み

ゴフ島は、その豊かな自然ゆえに、外来種の侵入という問題にも直面しています。ハツカネズミや外来植物であるアライトツメクサ、マオランなどが侵入し、固有種の生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、現在、これらの外来種を除去するためのプログラムが実施されています。ゴフ島の保全は、この島固有の貴重な生態系を守る上で、非常に重要な課題となっています。

世界遺産登録基準

ゴフ島は、以下の世界遺産登録基準を満たしていることから、世界遺産に登録されました。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。

ゴフ島は、その手つかずの自然と希少な生物相を有する、まさに地球上の貴重な場所といえます。今後も、保全活動の継続と、その自然の保護が求められています。

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