ゴム弾

ゴム弾の概要と利用

ゴム弾とは、主に警察や軍隊によって使用される弾丸の一種であり、非致死性兵器の代表的な存在です。一般的には、暴動鎮圧や大規模な訓練、さらには大型の動物の撃退などに利用されています。これらの弾丸は、銃弾そのものがゴムで構成されているものや、金属製の弾頭にゴムをコーティングしたもの、さらにはペイント弾のように内部に塗料を含むものもあります。用途や状況に応じてこれらを使い分けることが求められています。

ゴム弾の構造

ゴム弾は、その特性から、相手に命を奪う危険性を最小限に抑える目的で設計されています。しかし、その設計のために、発射の際に生じる衝撃やその後の跳ね返りによって、予期せぬ事故が発生する可能性も秘めています。例えば、硬質のゴムで作られた弾丸は、先端がくぼみのある形状をしており、飛行中に風圧を受けて開き、より広がった面積で対象に衝突します。これにより、意図しないダメージを与えることが懸念されています。

また、最近の研究では、ゴムの割合を減少させ、より望ましい素材を利用した弾丸が開発されています。例えば、チリの警察が用いたゴム弾は、80%を硫酸バリウムと二酸化ケイ素で構成し、残りの20%がゴムという配合となっていました。これにより、命中精度や射程距離を向上させる努力が行われています。さらに、金属やプラスチックを芯に使ったゴム弾は、弾道のぶれを抑えることができるため、より高い精度を持つ代わりに、製造コストが上昇するというトレードオフがあります。

ゴム弾の利用状況

警察組織では、暴徒鎮圧や犯人を制圧する手段としてゴム弾が多用されています。また、軍隊においても、殺傷目的ではなく、施設の警備や暴徒への対処においてこの武器を用いることが一般的です。中には、民間に向けた自衛用や害獣対策用としての販売も行われている国も存在し、護身用の銃器については、専用の非致死性弾のみを発射できる銃器が許可されている場合もあります。

問題点とリスク

しかし、ゴム弾の使用には重大なリスクが伴います。至近距離から発射すると、プロボクサーのパンチに匹敵する威力を持ち、特に頭部や顔面に命中することで重大な怪我や死亡の可能性も生じるからです。これが理由で、アメリカの警察組織は「非致死性（non-lethal）」ではなく「低致死性（less-lethal）」という用語を使うことが一般的とされています。

また、イギリスでは過去にゴム弾による多くの死傷者が出たため、より安全なプラスチック弾への移行を進めています。チリでの抗議活動では、警察が使用した硬質ゴム弾によって多くの人々が眼球破裂や他の目の怪我を負いました。

警察や保安部門では、テイザーなどの電子装置を装備し、命中同時に一時的に神経を麻痺させる手段が用いられていますが、依然としてゴム弾の使用については慎重な姿勢が求められています。今後の技術の発展によって、より安全で効果的な対策が期待されるところです。

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