ゴヨウザンヨウラク

ゴヨウザンヨウラク (Rhododendron goyozanense)

概要

ゴヨウザンヨウラクは、ツツジ科ツツジ属に属する落葉低木で、日本では特に五葉山にのみ生息しています。当初はヨウラクツツジ属に分類されていましたが、近年の分子系統解析により、ツツジ属に再分類されました。これにより、学名も2011年に変更され、現在はRhododendron goyozanenseと呼ばれています。

特徴

この植物は、通常1〜1.3メートルの高さに達します。若い枝には短い伏毛がありますが、成長過程でこれらは落ちてしまいます。葉は枝先に密集して互生し、長さは0.8〜2.5センチメートルの葉柄を持ちます。葉身は楕円形で、長さは1.5〜4.5センチメートル、幅は0.8〜2.5センチメートルです。葉の先端は円形または尖っており、基部は鋭形です。縁には毛がなく、表面には葉脈に沿って帯状に配置された粗い斜上毛が見られ、裏面はやや白っぽく、葉脈の主脈上には小さな鱗状の毛が付いています。

花期は6月下旬から7月上旬に訪れ、枝先に1ミリメートルほどの花序軸が伸び、3〜6個の花が下向きに集まります。花柄は5〜15ミリメートルで、白色の軟毛が点在し、多くのケースで分泌腺も見られます。萼は直径約3ミリメートルの皿状で、4つに裂けた構造を持ち、その裂片は円形で長さ約1.5ミリメートルです。

花冠は筒状で約1センチメートルの長さがあり、上面は紅色、下面は黄緑色をしており、外側には腺毛があり、内側には短い毛が生えています。花冠の先端は4つに裂け、裂片は円形で、少し形が異なり、長さ約3ミリメートルとなっています。雄蕊は8本で、長さは9〜10ミリメートルです。雌蕊は果実の形が楕円形で、長さは3〜4ミリメートルの蒴果として4裂します。

分布と生育環境

日本の固有種であり、岩手県の五葉山にのみ見られます。この山の上部では、ヒノキアスナロとブナから成る混交林の下層で、やや暗い急な岩場に生育しています。

名前の由来

和名の「ゴヨウザンヨウラク」は、新種の記載者である岩手大学の菊地政雄教授が五葉山にちなんで名付けたものです。種小名のgoyozanensisも同様に「五葉山」を意味しています。

新種としての記載

1961年、菊地教授と学生の望月陸夫は五葉山で植物調査を行い、新しい種と思われる標本を発見しました。既知の近縁種とは明確に異なる特徴を持っていることが確認され、1962年に新種として正式に記載されました。

種の保全状況

ゴヨウザンヨウラクは、環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧IA類に指定され、岩手県ではAランクとして認識されています。

参考資料

この植物のさらなる詳細については、以下の資料を参照することをお勧めします。加藤雅啓著の『日本の固有植物』や大橋広好の研究が役立ちます。また、五葉山に関する自然保護関連の資料も有益です。

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