ゴーイング・ダウン

ゴーイング・ダウン (Going Down)

「ゴーイング・ダウン」は、アメリカのミュージシャン、ドン・ニックスによって作詞作曲され、1969年にロックバンド、モロックによって最初に演奏された楽曲です。しかし、この曲が広く知られるようになったのは、1971年にリリースされたフレディ・キングのバージョンによるものでしょう。

概要

「ゴーイング・ダウン」は、フレディ・キングを筆頭に、ジェフ・ベック・グループ、ザ・フー、ディープ・パープル、ブライアン・フェリー、チキン・シャックなど、数多くの著名なアーティストによってカバーされ、ブルースロックのスタンダードナンバーとしての地位を確立しました。その普遍的な魅力は、時代を超えて多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

楽曲の構成は、基本的に12小節のブルース形式に則っていますが、コード進行に特徴的な要素が組み込まれています。通常のブルース進行では、IVまたはVのコードからIのコードに戻るところを、「ゴーイング・ダウン」ではI-VII-IV-IIIという、4段階でコードが下降していくパターンが挿入されています。キーがDの場合、このコード進行はD-C-G-Fとなります。このユニークなコード進行が、楽曲に独特の雰囲気を与えています。

モロックのバージョンは、メンフィスのサイケデリック・ロック・シーンから登場した彼らのデビュー・アルバム『Moloch』(1969年)に収録されています。ドン・ニックスは、このアルバムのプロデューサー、編曲者、エンジニアとして全面的に関わり、収録曲すべてのソングライティングも担当しました。アルバムには、「ゴーイング・ダウン」と同様にフレディ・キングの代表曲として知られる「セイム・オールド・ブルース」も収録されています。

ドン・ニックスは1970年にシェルター・レコードとアーティスト契約を結び、翌年、フレディ・キングのアルバム『Getting Ready...』をプロデュースしました。キングはここで「ゴーイング・ダウン」を取り上げ、その後のスタンダード化に大きく貢献しました。さらに翌年には、ジェフ・ベック・グループが、グループと同名のアルバムでこの曲をカバーし、新たなファン層に「ゴーイング・ダウン」を広めました。

その他のバージョン

作者であるドン・ニックス自身も、1971年のファリー・ルイスらとのツアーを収録したライヴ・アルバム『The Alabama State Troupers Road Show』(1972年リリース)でこの曲を歌っています。また、2002年には、自身の楽曲をセルフカバーしたアルバム『Goin' Down: The Songs of Don Nix』でも「ゴーイング・ダウン」を再演しています。

その他にも、ジョン・リー・フッカー、サヴォイ・ブラウン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ガヴァメント・ミュール、J・J・ケイル、ジョン・メイオールといった、ブルース、ロック、カントリーなど、幅広いジャンルのアーティストが「ゴーイング・ダウン」をカバーしています。それぞれのアーティストが独自の解釈を加え、多様なバージョンが存在することも、この楽曲の魅力の一つと言えるでしょう。

外部リンク

Going Down - SecondHandSongs
Which is Best? The Cover or Original? Going Down by Freddie King… （英語）

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