ゴーイン・ホーム

ゴーイン・ホーム：ローリング・ストーンズのブルージーな大作

ローリング・ストーンズの1966年発表アルバム『アフターマス』に収録されている「ゴーイン・ホーム (Goin' Home)」は、同グループの楽曲の中でも異彩を放つ一曲です。ミック・ジャガーとキース・リチャーズが作詞作曲を手掛けたこの曲は、11分を超える演奏時間を持つ、ストーンズのオリジナルアルバム収録楽曲としては最長のトラックとなっています。

予想外のアドリブ演奏

この楽曲の構成は、最初の3分程度がテーマとなる部分で、残りの大部分はほぼ完全にアドリブによる演奏で埋められています。当初はここまで長尺になる予定はなく、バンドメンバーのビル・ワイマンによると、誰も演奏を途中で止める合図を出さなかったことが、この長尺化につながったとのことです。しかし、このアドリブセッションの圧倒的なパワフルさはメンバー全員を魅了し、結果としてノーカットで収録されることになりました。これは、当時としては非常に革新的な試みと言えるでしょう。アルバム『アフターマス』自体、ストーンズのそれまでの作風とは異なる実験的な楽曲が多く収録されていることで知られていますが、「ゴーイン・ホーム」はその最たる例と言えるかもしれません。

ドラム中断の意外な理由

楽曲の途中でドラムスが一時中断する箇所がありますが、これはキース・リチャーズが着ていたコートをチャーリー・ワッツに向かって投げつけたことが原因であるとされています。このエピソードからも、レコーディングがいかに自由奔放で、即興性に富んだセッションであったかが伺えます。

放送禁止とシングルカット

歌詞に性的な表現が含まれていたため、アメリカの一部の放送局では「ゴーイン・ホーム」の放送が禁止されました。一方、フランスでは、この楽曲がA面とB面に分割されてシングルカットされるという、興味深い展開も見られました。

ライブパフォーマンスとミック・ジャガーの評価

ストーンズのライブにおいて「ゴーイン・ホーム」が演奏されたのは、1967年のみとされています。その後長らくライブでは演奏されていませんでしたが、1995年のインタビューでミック・ジャガーは、この楽曲について「すごくブルージーな曲」と評しており、その音楽性を高く評価していることが分かります。

まとめ

「ゴーイン・ホーム」は、その長尺の演奏時間、アドリブ中心の構成、そして放送禁止処分など、数々のエピソードを持つ、ローリング・ストーンズの楽曲の中でも特に特異で興味深い一曲です。この楽曲は、バンドの演奏における自由な発想と、実験的な姿勢を象徴する存在と言えるでしょう。11分を超える長大な演奏時間の中、メンバーそれぞれの個性と才能が爆発したセッションは、リスナーに深い感動と興奮を与え続けています。楽曲の持つブルージーな雰囲気と、アドリブの持つ即興性は、時代を超えて多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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