ゴーターバヤ・ラージャパクサ

ゴーターバヤ・ラージャパクサ

ゴーターバヤ・ラージャパクサ（Gotabaya Rajapaksa）は、1949年6月20日生まれのスリランカの政治家であり、第8代大統領を務めました。兄であるマヒンダ・ラージャパクサも第6代大統領を務めており、兄弟でスリランカ政界において大きな影響力を持っていました。ゴーターバヤは、マヒンダ政権下で国防・都市開発次官として活躍しました。

生い立ちと軍歴

スリランカ南部の著名な政治家の家系に生まれたゴーターバヤは、コロンボのアナンダ・カレッジで教育を受けました。1971年にセイロン陸軍に入隊し、士官としての訓練を受けた後、通信将校、そして歩兵連隊へと配属されました。1983年に勃発したスリランカ内戦では、ガジャバ連隊を指揮して初期の主要な戦闘に参加し、1987年の人民解放戦線の反乱鎮圧にも関わりました。その後、軍を早期退役し、情報技術分野へ転身、1998年にはアメリカ合衆国へ移住しました。

政界への復帰と国防次官

2005年にスリランカに帰国したゴーターバヤは、兄マヒンダの大統領選挙を支援し、マヒンダ政権下で国防次官に任命されました。国防次官として、2009年のタミル・イーラム解放のトラ（LTTE）との内戦終結に大きく貢献しました。この内戦では、LTTEの指導者ヴェルピライ・プラバカランを殺害し、26年にわたる内戦に終止符を打ちました。一方で、2006年にはLTTEによる自爆テロの標的にもなりました。内戦終結後、ゴーターバヤは都市開発プロジェクトを主導しましたが、2015年の大統領選で兄マヒンダが敗北したことで、国防次官の職を辞任しました。

大統領就任

2018年、ゴーターバヤは翌年の大統領選の有力候補として浮上しました。彼は民族主義、経済発展、そして国家安全保障を掲げ、多数派であるシンハラ人の支持を集め、第8代大統領に就任しました。ゴーターバヤは、議員経験なしに大統領に就任した初の人物です。大統領就任後、彼は兄マヒンダを首相に任命しました。2020年には議会選挙で圧勝し、憲法改正を行い、大統領権限を強化しました。親族を内閣に登用するなど、権力集中が進んでいると批判も受けました。
外交政策では、インド寄りの前政権とは異なり、中国との関係を重視する姿勢を示しました。2021年2月には、日本とインドとの共同事業であったコロンボ港東コンテナターミナルの開発を白紙撤回し、その後、中国企業に再開発を発注しました。

経済危機と政権崩壊

2022年、スリランカは深刻な経済危機に見舞われました。3月31日には、計画停電などの混乱に対し、数百人の市民がゴーターバヤの大統領邸宅を包囲する事態が発生しました。これに対し、ゴーターバヤは非常事態宣言を発令し、全閣僚とスリランカ中央銀行総裁が辞任しました。その後、事態は収束せず、大規模なデモやストライキが相次ぎ、5月には再び非常事態宣言が発令されました。
5月にはラニル・ウィクラマシンハを首相に任命しましたが、経済状況は好転せず、7月9日にはデモ隊が大統領公邸を占拠しました。ゴーターバヤは事前に避難したものの、7月13日に辞任を表明し、家族とともにモルディブへ脱出。その後、シンガポールを経て、国会議長に辞任を通知し、7月15日に正式に大統領を退任しました。

退任後

退任後、ゴーターバヤは一時的にタイに滞在しましたが、政治亡命は求めませんでした。その後スリランカに帰国し、現在はアメリカ合衆国の永住権を申請中です。

親族

D・A・ラージャパクサ - 父親
マヒンダ・ラージャパクサ - 兄
* バジル・ラージャパクサ - 弟

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