マヒンダ・ラージャパクサ

マヒンダ・ラージャパクサ：スリランカの政治を揺るがした人物

パーシー・マヒンドラ・“マヒンダ”・ラージャパクサ（1945年11月18日 - ）は、スリランカの政治家です。彼は、スリランカ大統領（第6代: 2005年 - 2015年）、首相（3期目、第18・22・24代）、財務大臣など、数々の要職を歴任しました。また、第8代大統領ゴーターバヤ・ラージャパクサは彼の弟です。

生い立ちと初期のキャリア

ラージャパクサは、ハンバントタ郊外でシンハラ人仏教徒の両親の元に生まれました。彼の名前は、スリランカに仏教を広めたとされるマウリヤ朝のアショーカ王の子、マヒンダに由来します。父D・A・ラージャパクサは、スリランカ独立運動の指導者であり、政治家でした。ラージャパクサは、リッチモンド・カレッジ、サースタン・カレッジ、ナーランダ・カレッジで学び、若い頃にはシンハラ語映画に出演した経験もあります。1970年、25歳でスリランカ自由党 (SLFP) から国会議員に初当選し、当時最年少の国会議員となりました。

大統領としての功績と課題

2005年、ラージャパクサは大統領選に出馬し、勝利しました。彼は、2006年から再燃したスリランカ内戦において、タミル人武装組織LTTEに対し徹底的な攻撃を加えました。中国やパキスタンからの軍事支援を受け、LTTEを壊滅させ、26年に亘る内戦を終結させたことは、彼の最大の功績と言えるでしょう。2010年には早期選挙を実施し再選を果たし、圧倒的な人気を背景に、大統領の3選禁止などを撤廃する憲法改正も行いました。

しかし、ラージャパクサ政権には、縁故主義的な人事や、中国からの資金援助によるインフラ整備における汚職疑惑など、多くの課題も指摘されています。特に、インフラ整備のために外国からの有償資金援助に頼った結果、スリランカの国家債務が急増し、経済的な危機を招いたことは、大きな批判を浴びました。

大統領退陣後と首相再任

2015年の大統領選で敗北した後、ラージャパクサは政界からの引退を余儀なくされました。しかし、彼はその後もSLFP内のラージャパクサ派を通じて影響力を維持し、2018年の地方自治体選挙では自身が主導するSLPPを大勝させ、再び政治の表舞台へと返り咲きました。2018年10月には、首相に再任されましたが、この再任は憲法上の問題があり、一時的に混乱を招きました。

3度目の首相、そして辞任

2019年の大統領選では、弟のゴーターバヤ・ラージャパクサを擁立し、当選させました。そして、ゴーターバヤ大統領により、2019年11月に改めて首相に指名され、3度目の首相就任を果たしました。2020年の総選挙では、スリランカ人民戦線を率いて圧勝し、政権を維持しました。しかし、2022年に発生した経済危機において、政府への大規模な抗議デモが相次いだことを受け、同年5月9日に首相を辞任しました。

親族と縁故主義

ラージャパクサ家は政治家の家系であり、彼自身も大統領時代には親族をたびたび要職に取り立てました。この縁故主義的な人事は、批判の対象となりました。

マヒンダ・ラージャパクサは、スリランカの政治史において、大きな足跡を残した人物です。内戦終結という偉業を成し遂げた一方で、経済政策や縁故主義的な人事など、多くの課題も抱えていました。彼の政治的な遺産は、今後もスリランカ社会に影響を与え続けるでしょう。

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