ゴールキーパー (火器)

ゴールキーパー（Goalkeeper）

ゴールキーパーは、オランダのシグナール（現在のタレス・ネーデルランド社）が開発した近接防空システム（CIWS）です。1967年のエイラート撃沈事件を受けて、オランダ海軍は新たな防空システムの導入を目指し、要求要件を策定しました。その後、フィジビリティスタディがオランダ応用科学研究所（TNO）とシグナール社の協力により行われ、さまざまな兵器システムに関する技術シミュレーションモデル「アシスト」が開発されました。

開発の経緯

1970年代初頭、シグナール社は西ドイツのマウザー社およびアメリカのエマソン・エレクトリック社と共同でSEM-30 CIWSの開発を開始しました。このシステムは、マウザー社製の30mm機関砲を4門搭載し、シグナール社製の火器管制レーダーで制御されるものでしたが、試験の結果が芳しくなく、計画は中止されました。

しかし、シグナール社は30mm CIWSのコンセプトを諦めず、1976年からSGE-30の開発に取り組みました。新しいシステムでは、火器管制システム（FCS）がアップデートされ、機関砲もゼネラル・エレクトリック社のGAU-8/Aガトリング砲に変更されました。

1979年には一連の発射実験が成功し、1983年にゴールキーパーと名付けられるに至ります。オランダ海軍はこのシステムに関心を示し、1984年には正式に装備化されました。加えて、この成功を受けてイギリス海軍も同様のシステムの開発を中止し、ゴールキーパーを採用しました。

システムの構成

ゴールキーパーは、シグナール社が開発したFCSとGE社が開発したマウントが統合されたシステムで構成されています。弾薬は1,190発収納可能で、システム全体の重量は約9,900キロに達します。

機銃部

搭載されているGAU-8/A 30mm機関砲は、毎分4,200発の発射速度を持つガトリング砲で、非常に高い信頼性を誇ります。この機関砲はEX-83マウントに装着されており、俯仰範囲は25度から85度、旋回速度も非常に優れています。

FCS（射撃指揮システム）

ゴールキーパーのFCSは、陸戦用のフライキャッチャーをベースとしたもので、レーダーと電子光学装置が統合されています。捕捉レーダーはXバンドを使用しており、最大で18目標まで同時に対処可能です。また、追尾レーダーは高精度なモノパルス技術を使用し、さまざまな条件下での目標追尾を実現しています。

運用史

オランダ海軍において1984年より正式に運用が開始されたゴールキーパーは、イギリス海軍、カタール海軍、アラブ首長国連邦海軍、韓国海軍などに採用されています。特にイギリス海軍は大きな顧客の一つであり、1984年には導入が決定されました。

一方、アメリカ海軍も1986年よりこのシステムに注目し、CIWS-2000計画の一環として評価を行いました。評価試験では様々なミサイル相手に交戦を行い、一部成功を収める一方で、誤射による損傷の報告もありました。最終的に、CIWS-2000計画は中止となり、代わりにファランクスの改良が進められることとなりました。

まとめ

ゴールキーパーは、主に海面攻撃から艦船を守るために設計された革新的な防空システムであり、その信頼性と先進技術により、現在も多くの国の海軍で採用されています。

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