サイクロスポーラ

サイクロスポーラは、アピコンプレックス門に属する原虫であり、コクシジウムの一種として知られています。主に食虫性の哺乳類を宿主とする寄生虫で、分類学上はサイクロスポーラ属(Cyclospora)に分類されます。このうち、Cyclospora cayetanensisはヒトにサイクロスポーラ症を引き起こすことで知られています。

形態

サイクロスポーラの成熟オーシスト内には、2つのスポロシストが生じます。さらに、それぞれのスポロシストの内部には2つのスポロゾイトが含まれています。この複雑な構造が、サイクロスポーラの生活環における重要な特徴となっています。

分類

現在までに10種あまりのサイクロスポーラが知られており、それぞれが特定の宿主を持っています。以下に代表的な種と宿主をまとめます。

Cyclospora angimurinensis: アラゲポケットマウス
Cyclospora ashtabulensis: モグラヒミズ
Cyclospora caryolytica: ウスイロセイブモグラ、モグラヒミズ、ヨーロッパモグラ
Cyclospora cayetanensis: ヒト（おそらくチンパンジーやヒヒ類も）
Cyclospora cercopitheci: サバンナモンキー類
Cyclospora colobi: アビシニアコロブス
Cyclospora glomericola: タマヤスデ
Cyclospora megacephali: トウブモグラ
Cyclospora parascalopi: モグラヒミズ
Cyclospora talpae: ヨーロッパモグラ

また、かつては爬虫類を宿主とする以下の種も報告されていましたが、現在ではイソスポーラまたは肉胞子虫の誤同定であると考えられています。

Cyclospora niniae
Cyclospora scinci
Cyclospora viperae
Cyclospora zamenis

歴史

サイクロスポーラの最初の発見者は、ドイツの動物学者テオドール・アイマーです。彼は1870年にモグラの小腸からサイクロスポーラを検出しました。その後、1881年にAimé Schneiderがヤスデから検出した原虫にCyclospora glomericolaと命名しました。また、1902年にはドイツの原生動物学者フリッツ・シャウディンが、モグラに寄生するC. caryolyticaの生活環に関する研究を発表しました。

しかし、サイクロスポーラの医学的な重要性が認識されるまでには長い時間を要しました。1977年にパプアニューギニアの患者から初めて検出された事例を皮切りに、研究が進められ、1994年にC. cayetanensisと命名されました。この種の発見により、ヒトにおけるサイクロスポーラ症の研究が本格的に開始されました。

まとめ

サイクロスポーラは、多様な宿主に寄生する原虫であり、その中でもC. cayetanensisはヒトに疾患を引き起こす可能性があります。初期の研究から長い年月を経て、その医学的な重要性が認識されるようになりました。今後の研究により、サイクロスポーラの生態や感染メカニズム、そして効果的な治療法がさらに解明されることが期待されます。

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