原虫

原虫についての概要

原虫（げんちゅう）は、真核単細胞微生物の一種で、動物的な特性を持つ生物です。元々この用語は原生動物と同義でしたが、現在では寄生性を持ち、特に病原性の強いものを指すことが一般的です。これは寄生虫学の観点から、単細胞の寄生虫を原虫として分類しているためです。

感染症の原因となる病原体の大半は細菌であるため、病理学の分野においては、細菌に属さない微生物のことを原虫と呼びます。この定義に従うと、もし特定の疾患の病原体を探した際に見つかる微生物が、運動性を持ち、真核細胞から構成されている場合、これが原虫と見なされます。これは、菌糸のような構造を持たず、真菌（菌類）と考えられない場合に該当します。

原虫による病気

原虫は人間や動物に対して多くの感染症を引き起こす可能性があります。以下に、代表的な原虫による病気の一覧を示します：

• - マラリア: 蚊を媒介として感染が広がる病気で、高熱や貧血を引き起こします。
• - リーシュマニア症: サンドフライによって媒介される皮膚や内臓に影響を及ぼす病気です。
• - クリプトスポリジウム症: 主に水を介して感染することが多く、下痢などの症状を引き起こします。
• - トリパノソーマ症: アフリカに特有の病気で、ツェツェバエにより伝染します。
• - アフリカ睡眠病: 同じくトリパノソーマによって引き起こされ、神経系に影響を及ぼします。
• - シャーガス病: 中南米で多く見られる病気で、キスバエが媒介します。
• - ナガナ病: 家畜に影響を与える病気で、主にアフリカに分布しています。
• - トリコモナス症: 性行為を介して感染することが多い疾患です。
• - トキソプラズマ症: 猫を媒介とする感染症で、妊娠中の女性には特に注意が必要です。
• - バベシア症: ダニにより感染する病気で、血液に影響を与えます。
• - アメーバ赤痢: 腸に炎症を引き起こし、下痢の症状が現れます。
• - 腸ジアルジア症: 汚染された水から感染する疾患です。

さらに、原虫は動物にも病気を引き起こすことがあります。たとえば、馬原虫性脊髄脳炎や黒頭病、鶏マラリアなどがその例です。これらの病気は、家畜やペットの健康に大きな影響を与えます。

特に注意すべきは、これらの病気が近年再び注目されている点です。先進国では衛生状態が改善され、多くの原虫に起因する病気は過去のものと見なされています。しかし、日本国内でも水道水からクリプトスポリジウムが検出されるなど、不適切な衛生状況は依然として問題視されているのです。このような状況を踏まえると、原虫による感染症に対する認識と対策は今後ますます重要になるでしょう。

最後に、ニューモシスチス肺炎の病原体ニューモシスチス・イロベチイ（旧称 ニューモシスチス・カリニ）は、以前は原虫の一種とされていましたが、最近の研究によって真菌であることが明らかになっています。このように、微生物の分類や特徴については、研究が進むことによって変わることもあるため、常に最新の情報に注意を払うことが重要です。

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