サイコビリー

サイコビリー（Psychobilly）

サイコビリーとは、1980年代に登場した音楽ジャンルであり、ロカビリーとホラー・パンクの影響を受けたスタイルです。このジャンルは独特の音楽スタイルを持ち、ファッションやライフスタイルにも個性的な特徴が見られます。

概要

「サイコビリー」という名前が初めて使われたのは、1976年にジョニー・キャッシュの曲「One Piece At A Time」であると言われています。この新たなスタイルはザ・クランプスのメンバーによって意図的に作られたわけではなく、自然に生まれたものなのです。彼らはこの流れの中で、サイコビリーという名前を知らずに使っていたと言います。

歴史

サイコビリーの初期の代表バンドには、ザ・クランプス、メテオーズ、フレンジー、バットモービル、グァナ・バッツなどがあります。特に、メテオーズはこのジャンルの創始者と見なされています。サイコビリーは、ネオロカビリーのバンドからも影響を受けており、ウッドベースのスラップ奏法を多用した激しい演奏が特徴です。多くのバンドが同じようなスタイルを取り入れています。

音の特性上、ノイズやハウリングに強いEMGピックアップが使われることが多いですが、スラップ音を強調するために、指板裏から直接アタック音をキャッチするための別のピックアップマイクも使用されることがあります。ギターに関しては、初期にはグレッチなどのセミアコースティックギターが使われていましたが、メタルやハードコアに傾くにつれて、ソリッドギターが増えていきました。演奏スタイルも多様化しており、ギャロップ奏法を駆使するプレイヤーもいれば、パワーコード主体のバンドも存在します。

現在、サイコビリーは多様なスタイルに分かれ、1980年代末までの基本的なスタイルを「初期サイコ」と呼んで区別することがあります。また、ファッションにも独自の特徴が見られます。サイコビリーのファッションは、サイドを刈り上げた「サイコ刈り」やフラットトップなどの髪型を特徴とし、服装にはロカビリーやパンクの影響が色濃く反映されています。

エドワードジャケットや鋲付きライダースジャケットが定番アイテムであり、1980年代の流行も取り入れられています。靴はラバーソールやドクターマーチンなどが多く見られ、パンツの裾はブーツインされることが一般的です。この中で「サイコ刈り」という髪型をしているメンバーは、サイコスと呼ばれ、パンクスとは区別されます。

ライブ文化

サイコビリーのライブには「レッキング」と呼ばれる独特のモッシュがあり、これは周囲の人と殴り合うような様子を指します。このとき、参加者同士には見えないルールが存在しており、笑顔で楽しむ様子が印象的です。激しい行動にも関わらず、本物の喧嘩には発展しないことが多いのです。

主要なアーティスト

サイコビリーシーンには数多くのバンドが存在します。中でも特に有名なバンドには、ディメンテッド・アー・ゴー、ネクロマンティクス、バットモービル、マッド・シン、フランティック・フリントストーンズなどがあります。また、日本のバンドも数多く登場しており、ノイロウゼやデスマーチ艦隊など新たなシーンを切り開いています。

このように、サイコビリーはその独特な音楽スタイルとファッションセンスで知られ、現在も多くのアーティストによって継承されています。

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