EMG

EMGピックアップ：クリアでパワフルなサウンドを実現する老舗メーカー

EMGは、1976年に「Dirtywork Studios」として設立されたアメリカの楽器用ピックアップメーカーです。その後、ブランド名を変更を経て、現在ではEMG, Inc.として知られています。エレキギターやベースに搭載されるピックアップにおいて、高い人気と知名度を誇るEMGは、特にそのアクティブピックアップで広く知られています。

アクティブピックアップ：クリアでパワフルなサウンドと優れたノイズ耐性

EMGピックアップの特徴として、まず挙げられるのがアクティブピックアップである点です。一般的なパッシブピックアップと異なり、磁力の弱いマグネットと少ないコイル巻き数で弦振動を拾い、その微弱な信号を内蔵プリアンプで増幅することで、高い出力とクリアなサウンドを実現しています。プリアンプは、コイルやマグネットと同じケースに封入されているため、コンパクトで扱いやすい構造となっています。

このアクティブ回路により、EMGピックアップは非常に高い出力と優れたノイズ耐性を両立しています。ステージ上など、ノイズの多い環境でもクリアなサウンドを維持できるため、多くのプロミュージシャンから信頼を得ています。また、サスティン（音の持続時間）も優れているため、豊かな表現力を実現できます。

出力インピーダンスが低いことも特徴の一つです。パッシブピックアップが500kΩや250kΩを使用するのに対し、EMGアクティブピックアップは25kΩポッドを使用することで、よりスムーズなトーンコントロールを実現しています。トーン回路のコンデンサはデフォルトで(100v,104k,0.1μF)を使用していますが、より音質を調整したい場合は(224k,0.22μF)や(334k,0.33μF)などへの交換も可能です。なお、EMGピックアップはソルダーレスのパッケージが付属しており、配線作業が容易に行えます。

多様なラインナップ：様々なニーズに対応

EMGは、数多くのピックアップモデルをラインナップしています。代表的なモデルとしては、ハンバッカータイプのEMG81、EMG85、EMG60、EMG58、EMG89など、シングルコイルタイプのEMG S、EMG SAなどがあります。これらのモデルはそれぞれ異なる周波数特性を持ち、プレイヤーの好みに合わせて選択できます。

中でもEMG81とEMG85は特に人気が高く、パワフルでクリアなサウンドが特徴です。特に1kHz帯域を強調したロングトーンとローノイズは、多くのギタリストに支持されています。近年では、ヴィンテージサウンドを追求したギタリストの間で、1960年代のギブソンシングルコイルを再現したEMG60も人気を集めています。

すべてのEMGアクティブピックアップは、9V角型電池(006P)を使用しますが、最大27Vまで昇圧することも可能です。

パッシブピックアップと7弦ギター用ピックアップ

EMGはアクティブピックアップ以外にも、プリアンプを内蔵しないパッシブピックアップ（HZシリーズ）も製造しています。また、7弦ギター用のアクティブピックアップ「EMG707」もラインナップしており、フィア・ファクトリーのディーノ・カザレス氏との共同開発によるものです。

著名なユーザー

EMGピックアップは、世界中の多くの著名なギタリストに愛用されています。トム・モレロ、デヴィッド・ギルモア、スティーヴ・ルカサー、プリンス、ディーノ・カザレス、メタリカ、スレイヤー、フィア・ファクトリー、スリップノット、レス・クレイプール、アレキシ・ライホ、ザック・ワイルドなど、数多くのアーティストがEMGピックアップを使用し、そのサウンドを支えています。

EMGピックアップは、その高い出力、クリアなサウンド、優れたノイズ耐性、そして多様なラインナップから、多くのミュージシャンに選ばれ続けている、信頼性の高いピックアップメーカーです。

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