サイダ

サイダ（シドン）

サイダ（Saida）、またはシドン（Sidon）は、レバノンで3番目に大きな都市であり、南レバノン県の県都です。アラビア語で「漁場」または「漁師」を意味し、ギリシャ人からは「花に富む街」と呼ばれていました。

歴史

古代

シドンは、古代フェニキアの主要都市国家として繁栄しました。紀元前19～18世紀頃には古代エジプト王朝の支配下で最盛期を迎えました。市内には、紀元前5世紀にフェニキア人が建てたエシュムーン神殿の遺跡が残っています。遺跡の帯状彫刻には、酔った男達の姿や薄着をまとった神々の様子が生き生きと描かれており、当時の人々の生活を垣間見ることができます。また、アレクサンドロス石棺や他の王の石棺にある彫刻は、いずれもシドンで発見されたものです。

創世記には、イスラエルが獲得すべき領域の北限としてシドンが設定されています。しかし、実際にはシドン人を完全に駆逐できず、イスラエル人は他の偶像と共にシドンの神を崇拝しました。列王記上では、北イスラエル王アハブにシドン王の娘イゼベルが嫁ぎ、イスラエルが堕落に陥る様子が描かれています。

中世・近世

1110年12月4日、シドンは第1回十字軍によって占領され、エルサレム王国の重要な領地であるシドン地方の支配の中心地となりました。その後も十字軍によって何度か占領されましたが、1249年にはサラセンによって街は破壊されました。1260年にはモンゴル人によって再び破壊されています。17世紀にはオスマン帝国の支配下に入り、商業的に重要な街として発展しました。

現代

レバノン内戦時には、首都ベイルートと同様にイスラエル軍による攻撃にさらされ、市街は荒廃しました。しかし、内戦終結後は急速に復興し、ベイルート、トリポリと共に2000年のアジアカップを共同開催し、その名を国際的に広めました。また、レバノンの首相を務めたラフィーク・ハリーリーの生地としても知られています。

ギャラリー

写真1
写真2
写真3

脚注

[ここに脚注の内容を記述]

参考文献

堀口松城『レバノンの歴史　－フェニキア人の時代からハリーリ暗殺まで－』明石書店、2005年。ISBN 978-4-7503-2231-5。

関連項目

* シドン・シナゴーグ：レバノン内戦以来荒廃している世界最古のシナゴーグのひとつ。ここで、「土地の日」を記念する行進に参加したナートレー＝カルタのラビ２名が、礼拝を執り行った。

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