サイトウ・キネン・オーケストラ

サイトウ・キネン・オーケストラの概要

サイトウ・キネン・オーケストラは、長野県松本市で毎年開催されるセイジ・オザワ 松本フェスティバルにおいて編成されるオーケストラです。このオーケストラは1984年に創設され、その起源は桐朋学園の創立者である齋藤秀雄に由来しています。彼が亡くなって10年の節目にあたるその年、彼の弟子たちである小澤征爾と秋山和慶が中心となり、齋藤の教えを受けた多くの音楽家たちと共に、「齋藤秀雄メモリアル・コンサート」を東京と大阪で開催しました。この特別なコンサートから、サイトウ・キネン・オーケストラが誕生しました。

組織と運営

設立当初、このオーケストラは自主運営であり、出演者は無給で演奏するスタイルをとっていました。各年に応じてメンバーが編成されるため、特定のメンバーは不定期に出演しています。最初の頃は齋藤の弟子や桐朋学園卒業生が中心でしたが、最近では高齢化やスケジュールの関係から、齋藤の孫弟子や海外の演奏者が多く参加しています。

さらに、1987年にはヨーロッパツアーを行い、ウィーンやベルリン、フランクフルト、パリ、ロンドンなどで演奏を行いました。その後も1990年にはザルツブルク音楽祭に出演し、多くの国でその名を知られるようになりました。

財団の設立と活動

1992年には「サイトウ・キネン財団」が設立され、同年9月には松本で初の「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」が開催されることになります。これ以来、オペラや声楽曲の上演、シンフォニーコンサート、さらには音楽塾など、多角的な音楽活動を展開しています。オーケストラは、音楽の普及や次世代の音楽家育成にも携わっています。

サイトウ・キネン・オーケストラは、音楽界において極めて高い評価を受けており、2008年にはグラモフォン誌の「世界のトップ20オーケストラランキング」において、19位に選ばれました。これは、日本から唯一の選出という栄誉にあたります。

レコーディングと音楽作品

レコーディングにおいても、オーケストラは多くの著名な作品を発表しています。フィリップスやソニー・クラシカル・レーベルからリリースされたアルバムには、ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集、チャイコフスキーやマーラーの交響曲集、ストラヴィンスキーのオペラ『エディプス王』、バッハの『マタイ受難曲』や『ミサ曲ロ短調』が含まれており、いずれも高い評価を得ています。

現在の活動

2021年には一般財団法人サイトウ・キネン・オーケストラ財団が設立され、小澤征爾が指名した13人のアドバイザリー委員会が、プログラム作成や若手音楽家の育成に取り組んでいます。この新しい運営機関により、オーケストラの活動はますます充実しています。

主なメンバー

オーケストラは多くの優れた音楽家たちで構成されており、指揮者としては小澤征爾が総監督を務めています。また、秋山和慶、飯守泰次郎、下野竜也、沖澤のどかといった指揮者も参加しています。弦楽器セクションには、安永徹、豊嶋泰嗣、矢部達哉など、国内外で活躍するトップレベルの演奏者が名を連ねています。

オーケストラは、松本での音楽祭と東京での演奏活動を通じて、クラシック音楽の普及に貢献し続けています。

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