矢部達哉

矢部達哉：卓越した技巧と幅広い音楽性を持つヴァイオリニスト

矢部達哉氏は、1968年2月5日東京生まれの日本人ヴァイオリニストです。5歳から鈴木メソッドで才能を開花させ、その後、江藤俊哉氏に師事するなど、幼少期から高度な音楽教育を受けました。

彼のキャリアは華々しく、1989年には桐朋学園大学ディプロマコースを修了すると同時に、東京国際音楽コンクール室内楽部門で優勝、齋藤秀雄賞とアサヒビール賞を受賞、さらにサイトウ・キネン・オーケストラにも参加するなど、早くから才能を認められました。

22歳という若さで東京都交響楽団のソロ・コンサートマスターに就任。その後も、ジャパン・チェンバー・オーケストラのコンサートマスターを務め、数々の賞を受賞するなど、第一線で活躍し続けました。1996年には、待望のデビューCD「ソット・ヴォーチェ」をリリースし、高い評価を得ています。

ソリストとしての活動も多岐に渡り、朝比奈隆氏、小澤征爾氏、若杉弘氏など、国内外の著名な指揮者と共演。また、1999年から2000年にかけては、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲を演奏するなど、高い演奏技術と音楽性を示しました。

室内楽奏者としても、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ氏やヨーヨー・マ氏といった巨匠たちと共演。Kitaraホールカルテット（1997-2007）や京都アルティ弦楽四重奏団の一員として活動するなど、幅広い音楽活動に積極的に取り組んできました。ピアニストの横山幸雄氏、田部京子氏らとの共演も多く、その音楽性は高く評価されています。

クラシック音楽にとどまらず、矢部氏は多様な分野でも活躍しています。1997年にはNHK連続テレビ小説「あぐり」のタイトル曲のソロ演奏を担当し、さらに同ドラマに俳優として出演するなど、その才能を多方面で発揮しました。また、江守徹氏主催のコンサートシリーズへの参加や、NHKドラマの音楽演奏なども手掛けています。

2004年には、松本孝弘氏（B'z）が東京都交響楽団と共演したことをきっかけに、松本のアルバム「House Of Strings」に参加。ロック界の巨匠との共演という、異色のコラボレーションも実現させています。

彼のレコーディング作品は数多く、ソロアルバムから室内楽作品、オーケストラ作品まで、幅広いレパートリーを網羅しています。特に、ソニークラシカルからリリースされた数々のアルバムは、高い音楽性と演奏技術が評価され、多くのリスナーを魅了しています。

2004年からは上野学園大学音楽・文化学部教授として後進の育成にも携わり、教育者としても貢献しています。

彼の音楽活動は、クラシック音楽の伝統を守りながらも、常に新しい表現に挑戦し続ける姿勢を示しています。 その幅広い活動と卓越した演奏技術は、多くの音楽愛好家に感動を与え続けています。彼の活動は、これからも音楽界に大きな影響を与え続けることでしょう。

家族:

妻：澤畑恵美（ソプラノ歌手、国立音楽大学教授）
子：矢部優典（チェロ奏者、NHK交響楽団）

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