サイモン・バロン＝コーエン

サイモン・バロン＝コーエン：自閉症研究の先駆者

サイモン・バロン＝コーエン（Simon Baron-Cohen, 1958年7月23日生まれ）は、イギリスで著名な発達心理学者であり、ケンブリッジ大学の発達精神病理学科で教授を務めています。彼は自閉症に関する研究で広く知られ、特に「マインドブラインドネス理論」や「心の理論」といった概念を提唱しました。また、自閉症を極端に発達した「男脳」という視点から捉える理論を打ち出し、この見解は心理学界に多大な影響を与えています。

バロン＝コーエンは、男脳と女脳の理論を語る際、必ずその概念がすべての男性や女性に当てはまるわけではないと強調しています。彼は、性別の違いが脳の特性に影響することを示唆しつつも、一般化には警戒を促しています。

彼の著書『共感する女脳、システム化する男脳』は、特に有名で、男脳と女脳の違いを解説し、異なる思考スタイルが社会にどのように影響するかについて論じています。この中で、彼はニュートンやアインシュタインといった歴史的な偉人たちがアスペルガー症候群に近い特性を持っていた可能性に言及していますが、彼らが持つ才能や特性が、必ずしも障害の証明とならないという視点も提示しています。

所属と役割

サイモン・バロン＝コーエンは、複数の権威ある学会や団体で重要な役割を果たしています。彼は、英国心理学学会（BPS）、イギリス学士院、科学的心理学会のフェローとして、精神的健康及び発達心理学の向上に寄与しています。また、BPS認定心理士としても認知され、専門知識が評価されています。

彼はさらに、イギリス自閉症協会の理事として自閉症の理解と支援に貢献し、国のガイドライン形成に関与するなど、影響力のある立場でも活躍しています。特に、英国国立医療技術評価機構（NICE）による成人自閉症ガイドラインの作成グループの議長を務めた経験は、彼の専門性の高さを物語っています。また、国際自閉症研究学会（INSAR）の理事としても活動し、自閉症研究の国際的な発展に寄与しています。さらに、専門雑誌『Molecular Autism』の編集長として、最新の研究成果を広める役割も担っています。

主な著作

バロン＝コーエンの著作は、自閉症研究に関する重要な資料として広く読まれています。以下は、彼の主な著書の一部です：

• - 共著『自閉症入門―親のためのガイドブック』（1997年、中央法規出版）
• - 『自閉症とマインド・ブラインドネス』（1997年、青土社、2002年新装版）
• - 『共感する女脳、システム化する男脳』（2005年、NHK出版）
• - 『自閉症スペクトラム入門－脳・心理から教育・治療までの最新知識』（2011年、中央法規出版）

まとめ

サイモン・バロン＝コーエンの研究は、自閉症の理解を深めるための礎となっており、その功績は多くの専門家や一般読者に影響を与え続けています。彼の理論や著作は、自閉症に関する議論を豊かにし、社会全体での意識向上にも貢献していると言えるでしょう。また、彼のいとこに俳優サシャ・バロン・コーエンがいることも、彼が持つ多様な才能と背景を示す一つの要素です。

もう一度検索