サイモン・B・バックナー

サイモン・ボリバー・バックナー・シニアについて

サイモン・ボリバー・バックナー・シニア（1823年4月1日 - 1914年1月8日）は、南北戦争における南軍の将軍として名を馳せたアメリカ陸軍の軍人であり、その後政治家としても顕著な影響を残しました。特に1862年に行われたドネルソン砦の戦いで、北軍のユリシーズ・グラントから有名な「無条件降伏」を要求されるなど、彼のキャリアにおいて重要な出来事の一つとなりました。この戦いによって、南軍は大きな打撃を受け、バックナーは多くの兵士を失う結果となりました。また、戦後にはケンタッキー州の知事としても活躍し、1896年には副大統領候補の指名を受けたものの、当選を果たすことはありませんでした。

初期の経歴

バックナーはケンタッキー州ハート郡のマンフォードビルにて生まれ、1844年にウェストポイントの陸軍士官学校を卒業し、陸軍少尉としてのキャリアをスタートさせました。その後、米墨戦争に従軍し、いくつかの戦いでの功績により名誉昇進を果たしました。戦争の後はウェストポイントに戻り、教官として歩兵戦術を教えました。1855年には陸軍を除隊し、イリノイ州で家の資産運用を開始。後にケンタッキー州に移り、民兵隊の指揮官に任命されました。

南北戦争の始まり

南北戦争が始まると、バックナーはケンタッキー州民兵隊の指揮官として活動しました。ケンタッキー州は南北両軍の間で中立を宣言しましたが、バックナーは南軍に加わり、1861年に准将として任官されました。彼は南軍の中央ケンタッキー軍の指揮官として戦闘に参加し、特にドネルソン砦の戦いが彼のキャリアにおける重要な転機となります。

ドネルソン砦の戦い

1862年2月、バックナーはドネルソン砦を守るために派遣されましたが、北軍の圧倒的な攻撃に晒されます。彼の部隊は包囲され、最終的に降伏を余儀なくされました。バックナーはグラントからの「無条件降伏」の条件を受け入れ、その際の書簡は歴史に名を刻むこととなります。この戦いで12,000人以上の南軍兵士と装備が捕獲され、戦略的にも南軍にとって大きな損失となりました。

戦後の活動

南北戦争後、バックナーは再び民間生活に戻り、ジャーナリストとして「デイリー・クレセント」紙で働きました。1868年にケンタッキー州に戻り、「クーリエ」編集者として成功を収めました。1887年には民主党からケンタッキー州知事に当選し、政務を行いながら、1896年の大統領選挙では国民民主党の副大統領候補となりました。この時、彼は銀と金の価値に関する論争において一貫して金本位制を支持し、ブライアンの政策に反対しました。

最後の年

バックナーは長命を全うし、1914年にケンタッキー州マンフォードビルで亡くなりました。彼は南軍の准将以上の士官として最後の生き残りとされ、フランクフォートの墓地に埋葬されました。息子のサイモン・B・バックナー・ジュニアもまた戦士となり、第二次世界大戦における沖縄戦で戦死しました。バックナーの生涯は、時代を超えた軍事的及び政治的影響力を物語るものであり、アメリカの歴史に深く刻まれています。

もう一度検索