サイモン・B・バックナー・ジュニア

サイモン・ボリバー・バックナー・ジュニア

サイモン・ボリバー・バックナー・ジュニア（Simon Bolivar Buckner, Jr.、1886年7月18日 - 1945年6月18日）は、アメリカ合衆国の陸軍軍人です。最終階級は中将で、没後の1954年に大将が追贈されました。太平洋戦争末期の沖縄戦において、連合軍の最高指揮官として戦死しました。

生涯

バックナーは、ケンタッキー州で南北戦争時の南軍の将軍であったサイモン・B・バックナーの息子として生まれました。父は後にケンタッキー州知事を務めています。彼はセオドア・ルーズベルト大統領の推薦でウェストポイントに入学し、卒業後は米比戦争に従軍。第一次世界大戦では少佐として勤務し、戦間期にはウェストポイントで教官を務めました。

第二次世界大戦が勃発すると、アラスカ軍司令官としてアリューシャン戦線に従軍し、准将に昇進。1943年には、アッツ島やキスカ島での戦いの功績により少将に昇進しました。1944年7月には、陸軍と海兵隊の混成部隊である第10軍を編成するためにハワイに転任し、この頃に中将に昇進したとされています。当初、第10軍は台湾侵攻を計画していましたが、命令は取り消され、沖縄侵攻の準備を命じられました。太平洋戦線での主要な戦闘に参加経験が少なかったバックナーが沖縄戦の指揮を執ることになった背景には、上陸作戦のエキスパートであるホーランド・スミス海兵中将が、その性格から軍上層部に嫌われていたという事情がありました。

沖縄戦

1945年、バックナーは第10軍司令官として沖縄戦（アイスバーグ作戦）を指揮しました。慶良間諸島への上陸後、4月1日に陸軍と海兵隊からなる主力部隊が沖縄本島に上陸。第10軍は、日本軍の第32軍と激戦を繰り広げました。

日本軍は、沖縄本島中南部の丘陵地に地下陣地を構築し、徹底抗戦しました。第10軍は、日本軍司令部がある首里を目指して侵攻しましたが、日本軍の抵抗により進軍は遅れ、多くの損害を被りました。バックナーは正面攻撃にこだわり、海軍や海兵隊が提案した日本軍防衛線への再上陸案を採用しませんでした。彼はアリューシャン戦線での経験から、沖縄戦でも正攻法を貫こうとしたのです。新たな上陸作戦は、補給システムの崩壊を招きかねないと懸念していました。ニミッツらは陸海軍の対立を避け、バックナーを支持しました。

5月末に首里が陥落した後も、日本軍は喜屋武半島に撤退し、抵抗を続けました。ダグラス・マッカーサーは、沖縄を日本侵攻の基地として利用するという目的は達成されたとして、バックナーが損害を増やしていることを批判しました。

戦死

1945年6月18日、バックナーは前線視察中に日本軍の砲撃を受け戦死しました。彼は部下の忠告を無視して前進し、砲弾の破片が胸に当たり絶命しました。バックナーの死後、米軍による無差別殺戮が誘発され、民間人が犠牲になる事件も発生しました。彼の死後、第10軍の指揮はロイ・S・ガイガー海兵中将が引き継ぎ、その後ジョセフ・W・スティルウェル大将が後任となりました。6月23日には、日本軍の牛島満中将と長勇中将が自決し、沖縄戦における組織的な戦闘は終結しました。

バックナーの遺体は、後にケンタッキー州のフランクフォート墓地に改葬されました。1954年には、その功績が認められ大将が追贈されました。戦死地には慰霊碑が建立されています。

バックナーの名を冠した施設

沖縄県には、フォート・バックナーやキャンプ・バックナー、バックナー・ベイなど、バックナーの名を冠した施設が数多く存在します。アメリカ本土にも、バックナー体育館やバックナー・ビルなどがあります。これらの施設は、彼の功績を称え、記憶を後世に伝えるために名付けられました。

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