サイン理論

サイン理論とは

サイン理論は、競馬のレース結果には、主催者や何らかの意思による「サイン」が隠されているという考えに基づいた予想方法です。これは、広義には「ケントク買い」の一種ともみなされます。サイン理論に基づいて購入された馬券は「サイン馬券」と呼ばれます。

概要

サイン理論の基本的な考え方は、「レース前から勝ち馬や勝利騎手が決まっており、特定の人物に主催者や競馬の神様がサインを送っている」というものです。このサインを読み解くことで、レース結果を予測しようとします。

この手法は、人気馬では配当が見込めないため、主に穴馬を見つけるために使われます。しかし、人気馬を本命にする際の根拠を補強するためにも利用されることがあります。

サイン理論は古くから存在する手法ですが、日本では競馬評論家の高本公夫氏が広めたとされています。高本氏は、自身の予想コラムなどを通じてこの手法を普及させ、彼の名前から「タカモト式」と呼ばれることもあります。しかし、主催者や競馬関係者がレース結果を操作しているという解釈も可能であるため、真面目な競馬ファンや関係者からは嫌われる傾向があります。

高本氏が当初提唱していた「サイン馬券」は、徹底的な情報収集に基づいて、馬主の経済状況、厩舎の人脈、主催者の集客戦略、競走馬の生理面など、多岐にわたる要素を考慮したものでした。しかし、情報入手が困難になるにつれて、高本氏自身の予想も「レースには作為がある」と解釈し、サインの解読を強引に進める現在のサイン理論のようなものへと変化していきました。

手法の例

サイン理論には、様々な手法が存在します。以下に主な例を挙げます。

連想:
時候や記念日に関連する馬名、馬主から予想する。
出走馬の関係者の誕生日や冠婚葬祭から予想する。
主催者:
主催者の発行物や広告にあるフレーズ、漢字の画数、写真などから予想する。
当日の競馬場のゲストや迷子案内から連想する。
時事:
社会で話題となっているニュースや事件、事故から連想する。
その他:
特定のレースの出目から連動性を読み解く。
アナグラムや暗号解読、オカルト的な発想を用いる。
レース結果が出た後に、結果を当てはめてサイン理論を後付けする。
騎手や馬主の冠名がサインの場合、その対象となる全レースの馬券を購入する。

これらの手法は、こじつけとみなされることも少なくありません。

代表的な例

特にサイン理論が注目されるのが、年末の大一番である有馬記念です。その年の世相や表彰式のプレゼンターなどがサインとして解釈され、様々な予想が飛び交います。以下に具体的な例を紹介します。

有馬記念のサイン例

世相を反映した例:
2001年のアメリカ同時多発テロ[[事件]]では、「テロ」に関連する馬名を持つ馬が上位を占めました。
2008年の北京五輪開催年には、枠番連勝8-8が売れ、またアナウンサーの山本モナにちなんだ馬が2着に入りました。
2012年には、今年の漢字が「金」であったことから、ゴールドシップが勝利しました。

プレゼンターに因んだ例:
2010年の有馬記念では、プレゼンターを務めた横綱白鵬翔にちなんで、1枠の白い帽子の馬が勝利しました。
2014年には、来賓の長嶋茂雄氏と誕生日が同じ馬が優勝しました。
2016年には、アンバサダーの田中将大氏の誕生日にちなんだ馬券が決着しました。

JRAのCMキャラクターに因んだ例
1991年の有馬記念では、1着と2着の馬の組み合わせが、翌年のJRAのCMに出演した高倉健に繋がったというサイン解釈がありました。

天皇賞のサイン例

天皇賞では、皇族の来場がサインの根拠とされることがあります。

天皇賞（秋）
1枠の連対率が非常に高いことが知られています（皇は「白に王」と書くため）。
昭和天皇や明仁天皇が観戦した際には、1枠の馬が勝利しました。
紀宮清子内親王ご成婚記念競走では、愛子内親王の誕生日にちなんだ馬券が決着しました。
天皇賞（春）
1枠の勝率が高い傾向にあります。
開催時期がゴールデンウィークであることから、ゴールデンウィークに関連した馬名に注意が向けられます。

爆笑問題・田中裕二のサイン予想

お笑い芸人の田中裕二は、時事ネタを絡めたサイン予想を披露することがあります。

2007年の皐月賞では、騎手と馬名に「勝」の字が入った馬が優勝。
2009年の北九州記念では、覚せい剤事件で話題になった人物と同姓の騎手が騎乗した馬が勝利。
2012年の札幌記念では、ロンドンオリンピックの閉会式で話題になった曲に関連した馬が勝利。
2016年の有馬記念では、アメリカ大統領選で勝利した人物にちなんだ馬が本命として的中。

その他の例

1990年代には、「ナカヤマ」の冠名を持つ馬の馬券を買うと儲かるという噂がありました。
2010年のマイルチャンピオンシップでは、Jリーグ優勝チームやサッカーに関連した馬が上位を独占しました。
2009年の日経新春杯では、引退発表した馬の名前と、人気アニメのタイトルを関連付けて予想。
2013年の日本ダービーでは、当時の世相と馬名の字画を関連付けて予想しました。
2015年のジャパンカップでは、ラグビー選手の背番号や勝負服に関連した馬が優勝しました。
2017年の優駿牝馬では、眞子内親王の結婚相手にちなんだ馬が優勝しました。
2017年の日本ダービーでは、13年前の結果が再現されるような決着となりました。

サイン理論を使う著名人

サイン理論を公言する著名人は以下の通りです。

阿藤快: 独自の馬券術を著書で紹介しています。
田中裕二（爆笑問題）: 東京スポーツで連載を持ち、サイン予想を披露しています。
井崎脩五郎: 競馬評論家で、サイン予想を披露しています。
* 誠優駿俱楽部： 40年以上前から競馬攻略本を販売しています

まとめ

サイン理論は、競馬予想の一つのアプローチとして、多くの人に親しまれています。しかし、その根拠はこじつけに近い場合が多く、科学的な根拠はありません。エンターテイメントとして楽しむ分には良いですが、過度に信じ込むことは避けるべきでしょう。

もう一度検索