サウジアラムコ

サウジアラムコについて

サウジアラムコ（Saudi Aramco）は、サウジアラビア王国の国有石油会社であり、世界の原油埋蔵量、生産量、輸出量のいずれも最大を誇ります。その歴史は1990年代に遡り、欧米資本の介入や、政府による石油資源の国有化に伴い、時代の変遷と共に成長してきました。

1. 設立の背景

サウジアラムコの始まりは、1928年に締結された赤線協定によるもので、当時のサウジアラビアは旧オスマン帝国の領土に位置していました。この協定によって、エクソンとモービルが石油の開発権を取得する際には、他の株主の承諾が必要となりました。

1933年、スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア（現在のシェブロン）の子会社、カリフォルニア・アラビアン・スタンダード・オイル・カンパニー（カソック）がイブン・サウド国王と契約を結び、サウジアラビアの石油利権を獲得しました。これがサウジアラムコの本格的な発展の始まりでした。

2. 欧米資本の介入とアラムコ設立

1944年には、カソックが社名をアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニーに変更し、その後、赤線協定が1948年に廃止されると、アラムコに複数の株主が加わることとなります。

1949年にはラスタヌラ製油所が操業を開始し、これは当時、世界最大級の原油処理能力を誇る施設でした。この製油所の活動は、サウジアラムコの成長に大きく寄与しました。

3. 国有化の過程

1960年代、OPECの設立を契機に、世界各国で石油会社の国有化が進む中、サウジアラビア政府は独自のペースでアラムコの国有化を進めます。1970年代には、政府の参加比率が増加し、1980年には100%の国有化を達成しました。

この過程で、アラムコは国の経済ブレインとしての役割も果たし、石油鉱物資源省の影響力が強まりました。サウジアラムコのCEOには、アリ・ヌアイミが就任し、その後の発展を支えました。

4. 現代のサウジアラムコ

1988年、サウジアラムコが正式に設立され、その業務範囲は石油・ガスの探査、開発、販売に広がります。さらに、最近では「炭化水素のバリューチェーン」の強化に取り組み、石油化学分野にも力を入れています。

2019年には、サウジ証券取引所に上場し、瞬時に世界最大の時価総額を誇る企業となりました。このIPOは、油資源に依存しない経済の多角化を進めるサウジアラビアの「ビジョン2030」の一環です。

5. 近年の動向と国際関係

2022年以降、サウジアラムコは新たな投資を積極的に行い、アメリカの潤滑油メーカー・バルボリンや、サウジ基礎産業公社の株式取得などによりその影響力を拡大しています。また、サッカーやモータースポーツのスポンサーシップを通じて国際的なプレゼンスを高めています。

6. 結論

サウジアラムコは、サウジアラビア国内だけでなく世界的にも重要な役割を果たしている企業です。石油産業の国有化から始まり、国際的なビジネス展開へと成長した背景には、数十年に渡る戦略的一貫性が存在します。今後も、持続可能なエネルギー開発を進めながら、世界経済に貢献していく事が期待されています。

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