サウスカロライナ級戦艦

サウスカロライナ級戦艦

サウスカロライナ級戦艦は、アメリカ海軍が最初に建造した弩級戦艦の艦級であり、2隻が建造されました。その設計は、イギリスのドレッドノートよりも早く進められましたが、建造が遅れたためドレッドノートの就役後に起工されることになりました。この艦級は、アメリカ海軍の戦艦設計における重要な転換点となりました。

設計

サウスカロライナ級の設計は、1902年のアメリカ海軍公式「議事録」に議論が残されています。革新的なドレッドノートとは異なり、前級のコネチカット級戦艦を基に発展させたものであり、アメリカ戦艦に共通する設計思想を継承しています。

本級は、それまでの戦艦の設計思想を大きく変えるものではなく、既存の技術を最大限に活用し、信頼性と実用性を重視した設計がなされました。これにより、新たな技術的課題を抱えることなく、確実な戦力増強を目指しました。

機関

アメリカ戦艦は長大な航続距離を重視する一方で、燃料である石炭の貯蔵が船体設計に悪影響を与えていました。そのため、サウスカロライナ級では、高出力ではないものの燃費に優れる三段膨張式レシプロ蒸気機関を採用しました。しかし、この機関の採用により最大速力は20ノット以下に留まり、高速性が求められる場面では課題を残す結果となりました。この機関は、後のニューヨーク級戦艦やデラウェア、オクラホマにも採用されています。

武装

当初、本級は連装8インチ砲の代わりに単装12インチ砲を上部構造に装備し、貧弱な7インチ副砲を撤去する計画でしたが、12インチ砲の射撃反動によるトラブルが多発したため、砲塔に収められる改修が行われました。この改修により、サウスカロライナ級は世界初の背負式砲塔を持つ戦艦となりました。4基の砲塔を前後に2基ずつ背負式に配置したこの配置は、後に「ミシガン配置」と呼ばれるようになり、他国の戦艦にも採用されるなど、その後の戦艦設計に大きな影響を与えました。背負式配置により、すべての砲を舷側へ指向することが可能となり、舷側部分の砲を廃止することで、前級と同等の重量で建造することができました。この革新的な砲塔配置は、戦艦の火力配置を最適化し、戦闘能力を向上させる上で重要な役割を果たしました。

戦歴

第一次世界大戦中、サウスカロライナ級は低速であることから、前弩級戦艦と共に作戦行動を行うことが多く、主力戦艦としての活躍は限定的でした。戦後、ワシントン海軍軍縮条約の結果、2隻とも廃棄されました。その短い現役期間の中で、サウスカロライナ級は戦艦設計における重要な一歩となり、その後の戦艦開発に大きな影響を与えたことは間違いありません。

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧
デヴィッド・ワトソン・テイラー - 設計者の一人

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