サウス・コーカサスパイプライン

サウス・コーカサスパイプラインについて

サウス・コーカサスパイプラインは、アゼルバイジャンのバクーからトルコのエルズルムまで続く、全長692キロメートル（430マイル）に及ぶ天然ガスの輸送経路です。このパイプラインは、カスピ海のシャー・デニズガス田から天然ガスを供給し、バクー・トビリシ・ジェイハンパイプライン（BTC）と同様のルートを通っています。緊密な地理的位置関係により、中東からヨーロッパへのエネルギー供給に寄与する重要な役割を担っています。

歴史的背景

サウス・コーカサスパイプラインは、その運用を2006年に開始しました。5月21日に試験運転として天然ガスが供給され、その後9月30日に本格的な運用をスタートしました。同年12月15日には、シャー・デニズガス田からのガス輸送が正式に開始されました。しかし、2008年の南オセチア紛争の影響で、運営会社であるBPは安全上の理由からパイプラインを一時的に閉鎖しましたが、数日後には供給を再開しています。

技術的な特徴

このパイプラインの直径は42インチ（約1,070mm）であり、その経路はバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインと重複しています。アゼルバイジャン国内を442キロメートル、さらにジョージア領内を248キロメートル通過します。パイプラインの初期の輸送能力は年間88億立方メートル（3100億立方フィート）でしたが、シャー・デニズガス田開発の第2段階では、資金約30億米ドルを投じて増強が行われ、最大250億立方メートル（8800億立方フィート）にまで対応可能となる予定です。

さらに、トルクメニスタンやカザフスタンとの接続を含む新たな経路の建設が計画されており、将来的には最大600億立方メートル（2.1兆立方フィート）にまで能力を拡大する意向も示されています。

株主構成

サウス・コーカサスパイプラインは、BPとアゼルバイジャンの国家石油会社（SOCAR）を中心とした企業連合によって所有されています。この連合が設立した運営会社、サウス・コーカサスパイプライン社（South Caucasus Pipeline Co.）は、実際の運営に従事しており、両社の協力によってパイプラインの管理が行われています。

他の関連プロジェクト

このパイプラインに関連する技術プロジェクトには、ナブッコ・パイプラインやカスピ海横断ガスパイプラインがあり、これらによって地域のエネルギー供給がさらに強化されることが期待されています。また、シャー・デニズガス田などの主要な資源も、このパイプラインを通じて欧州市場に貢献しています。これにより、エネルギー供給の多様化が進み、依存度の低減とともに安定した供給が確保されることが目指されています。

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