サウル・アルバレス 対 ハイメ・ムンギア戦

サウル・アルバレス 対 ハイメ・ムンギア戦

2024年5月4日（米国時間）、ネバダ州ラスベガスにあるT-モバイル・アリーナを舞台に、ボクシング界のスーパースター、サウル・“カネロ”・アルバレスがリングに上がった。対するは、同胞メキシコの期待の新星であり、無敗の挑戦者ハイメ・ムンギア。この対戦は、アルバレスが保持するWBA、WBC、IBF、WBOの主要4団体世界スーパーミドル級統一王座をかけた、ボクシングファン注目のタイトルマッチとして実現した。興行はTGBプロモーションズとゴールデンボーイ・プロモーションズの共同で行われ、試合の模様はPrime VideoおよびDAZN（ペイ・パー・ビュー形式）で配信された。

アルバレス、スーパーミドル級での道のり

サウル・アルバレスのスーパーミドル級におけるキャリアは、2018年12月に始まった。当時ミドル級王者だったアルバレスは階級を上げ、WBA世界スーパーミドル級正規王者ロッキー・フィールディングに挑み、3回TKOで勝利。これにより3階級制覇を達成した。その後、アルバレスはスーパーミドル級での地位を固めていく。2020年12月にはカラム・スミスとのWBA王座統一戦兼WBC王座決定戦に勝利し、WBAスーパー王者として統一王座を獲得（初防衛）、空位だったWBC王座も手中に収め、リングマガジン王座も獲得した。翌2021年2月には指名挑戦者アブニ・イルディリムを3回終了TKOで退け、WBA王座2度目、WBC王座初防衛を成功させた。そして、2021年5月にはWBO王者ビリー・ジョー・ソーンダースとの3団体王座統一戦を制し、WBA王座3度目、WBC王座2度目の防衛とWBO王座獲得を果たし、3団体統一王者となった。さらに同年11月、IBF王者カレブ・プラントとの歴史的な4団体統一戦に臨み、11回TKO勝利を収め、WBA王座4度目、WBC王座3度目、WBO王座初防衛に加え、IBF王座を獲得。史上7人目、スーパーミドル級では初の主要4団体統一王者という偉業を達成した。

統一王者となった後も、アルバレスは強豪を相手に防衛を重ねた。2022年9月には長年のライバルであるゲンナジー・ゴロフキンとスーパーミドル級で3度目の対戦を行い、判定勝利で主要4団体王座を防衛した。この試合後、左手首の負傷が明らかになり、長期の休養を余儀なくされた。復帰戦となった2023年5月には、故郷グアダラハラでWBO世界スーパーミドル級暫定王者ジョン・ライダーとの団体内統一戦を判定で制し、統一王座を防衛した。同年9月には、2階級下から挑戦してきたジャーメル・チャーロを迎え撃ち、ここでも判定勝ちを収め、盤石の体制を築いていた。

対戦決定までの複雑な背景

今回ハイメ・ムンギアとの対戦が決定するまでには、いくつかの経緯があった。当初、アルバレスは別の相手、ジャーモール・チャーロとの対戦を希望していたとされるが、プロモーターであるPBCとの契約条件で合意に至らなかったため、一時的にPBCとの契約を解除し、マッチルーム・スポーツと契約を結んだとの報道があった。しかし、その後エドガー・ベルランガとの対戦交渉も決裂し、マッチルームおよびその配信元であるDAZNとの関係も解消されることとなった。最終的にはPBCと単発の契約を再び結び、同胞であるハイメ・ムンギアとの対戦が実現する運びとなった。2024年3月に行われたプロモーションイベントでは、アルバレスがムンギアに対し「尊敬できる人物と戦えるのは光栄」と語るなど、両者の間にスポーツマンシップと敬意が感じられた。

試合への準備

このビッグイベントのアンダーカードには、複数のタイトルマッチが組まれ、大会全体のボルテージを高めた。WBC暫定ウェルター級王者マリオ・バリオスの防衛戦、WBAウェルター級レギュラー王者エイマンタス・スタニオニスとガブリエル・マエストレによるタイトルマッチ、WBC暫定フェザー級王者ブランドン・フィゲロアとヘスス・マグダレノによるタイトルマッチなどがラインナップされた。試合前日に行われた計量では、アルバレスが166.8ポンド、ムンギアが167.4ポンドを計測。両者とも規定体重である168ポンド（約76.2kg）を下回り、無事計量をパスした。

試合結果

2024年5月4日、世界中が注目する中、T-モバイル・アリーナのリングでゴングが鳴り響いた。試合は序盤、ムンギアが若さと勢いで前に出る場面も見られたが、百戦錬磨のアルバレスは冷静に対応。巧みなフットワークとガードでムンギアの攻撃を凌ぎつつ、正確なカウンターパンチをヒットさせていく。ラウンドが進むにつれて、アルバレスが試合の主導権を握り、その経験と技術の差を見せつけた。ムンギアも最後まで諦めず食い下がったが、アルバレスの崩れないボクシングの前に決定的なチャンスを作り出すことはできなかった。12ラウンドの激闘を終え、試合の行方はジャッジの判定に委ねられた。結果は、3-0（117-110、116-111、115-112）のユナニマス・デシジョンでサウル・アルバレスが勝利。主要4団体世界スーパーミドル級統一王座の防衛に成功した。この勝利により、アルバレスはWBA王座8度目、WBC王座7度目、IBF王座4度目、WBO王座5度目の防衛を達成。同胞対決を制し、スーパーミドル級における自身の支配的な地位を改めて示した一戦となった。

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