サウンドノベルツクール

サウンドノベルツクール：あなただけの物語を創造する

『サウンドノベルツクール』は、アスキーが発売したサウンドノベル制作ソフトウェアです。1996年にスーパーファミコン用ソフトとして登場し、その後プレイステーション、セガサターンにも移植されました。このソフトの特徴は、ユーザーが自分でオリジナルのサウンドノベルを制作できる点にあります。

概要

『サウンドノベルツクール』は、RPGツクールシリーズと同様に、アスキーの「ツクールシリーズ」の一環として発売されました。ゲーム制作の知識がなくても、様々な命令、画像、音楽を組み合わせることで、独自のサウンドノベルを制作できます。ソフトには、あらかじめ用意された画像や音楽だけでなく、ユーザーが自作した素材も使用できます。

スーパーファミコン版では、サテラビューに対応しており、衛星データ放送を介して新しい素材をダウンロードできました。また、アスキーの音楽製作ツールソフト『音楽ツクール かなでーる』で作曲したBGMも利用可能です。データは、ターボファイルツインまたはサテラビュー用メモリーパックに保存できます。

ソフトには、参考用のサンプルゲームが1本収録されており、ユーザーはこれを参考にしながら、自分のゲームを制作できます。さらに、『サウンドノベルツクール』は、「アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテスト」の選考対象ソフトにも採用され、ユーザーの創造性を刺激しました。

ゲーム内容

『サウンドノベルツクール』では、背景画像、音楽、効果音、演出効果などの要素を組み合わせて、サウンドノベルを制作します。テキストとこれらの要素を組み合わせることで、ユーザーは物語を自由に表現できます。また、人気ゲーム『かまいたちの夜』のように、人物像をシルエットで表示する機能も搭載されています。

ソフトには、60種類の背景グラフィック、28種類の人物シルエット、7種類の演出効果、60種類のBGM、256種類の効果音が用意されています。これらの素材を自由に組み合わせることで、ユーザーはバラエティ豊かなサウンドノベルを制作できます。

背景グラフィック

背景グラフィックは、8種類のカラーから選択できます。さらに、横スクロールやラスタースクロール、振動やフラッシュなどの効果も設定可能です。背景の一つとして使用されている洋館は、東京都新宿区信濃町にある「デ・ラランデ邸」がモデルとなっています。

シルエットグラフィック

シルエットグラフィックは、男性、女性、子供、妖精など、様々な種類があり、それぞれ8種類のカラーバリエーションが用意されています。

演出

雨、雪、人魂、落雷、飛び散る液体、斬られる、流れる液体など、7種類の演出効果があります。これらの演出効果にも、それぞれ8種類のカラーバリエーションが用意されています。

BGM

収録されているBGMは、シリアスな曲から明るい曲調のもの、短いジングルなど、多岐にわたります。

SE

効果音には、雷鳴、風、歩く靴音、笑い声、電話、車の走行音などが収録されています。

サンプルゲーム

ソフトに収録されているサンプルゲームは、『サウンドノベル劇場 夏の樹に棲む妖精（ニンフ）』です。シナリオは寺田憲史が担当しており、前編と後編で構成されています。

ストーリー

主人公は8歳の夏休みに、親戚の叔父の家で「夏樹」という妖精のように透明感のある女の子と出会います。彼女に惹かれる主人公でしたが、父親の仕事の都合で叔父の家から帰宅することになり、彼女とは会えなくなってしまいます。10年後、彼女から主人公あてに「想い出の樹の下でまた会いたい」という電子メールが届き、主人公は夏休みを利用して夏樹のいる山へと向かいます。

主な登場人物

主人公: 名前は設定できず、入力もできません。18歳の高校3年生で、童貞であることにコンプレックスを抱いています。パソコン通信で「いい音五人衆」というハンドルネームを使っており、それがきっかけで昔出会った少女と再会することになります。
夏樹: 主人公が幼い頃に出会った謎の少女で、彼のファーストキスを奪った相手。パソコン通信を介して主人公に再会を誘います。

スタッフ

ソフトの制作には、アスキーのログインソフト編集部や、株式会社サクセスなど、多くのスタッフが関わっています。企画・制作はアスキー、プロデューサーは川村篤、ディレクターは池田国人と高見大三郎、スーパーバイザーは青山豊、サウンドディレクターは有坂光弘が担当しました。プログラムは株式会社サクセスが担当し、スーパーバイザーは吉成隆杜、プログラマーは笹瑞穂と小嶋俊晴が務めました。グラフィックデザイナーは今正史、グラフィック協力は宇井照子と町田孝幸が担当しました。サウンドプログラムは磯田重晴が担当しました。パッケージイラストは山内真、サンプルゲームシナリオは寺田憲史が担当しています。

評価

ゲーム雑誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では、21.2点（満30点）という評価を得ています。

続編

『サウンドノベルツクール2』は、1997年にプレイステーションとセガサターンで発売されました。前作と同様に、ユーザーがサウンドノベルを制作できるソフトです。セガサターン版は、新たなグラフィックや音楽が追加されており、セガサターン用キーボードも使用できます。

ゲーム内容

『サウンドノベルツクール2』には、サンプルゲームが4種類収録されています。

青春アドベンチャー「卒業証書」: TBSラジオの番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』との連動企画で生まれたサンプルゲーム。リスナーがストーリーを応募し、伊集院光が作成した27通りの結末が用意されています。（PS版のみ）
お料理サウンドノベル「ユキピーの最短で三分、ヘタすりゃ三世紀クッキング」: こちらも『伊集院光 深夜の馬鹿力』との連動企画で生まれた、料理番組モチーフのギャグ作品。27通りの結末が用意されています。（SS版のみ）
スリル&サスペンス「地下の記憶」: 前後編からなるシナリオで、ソフトの命令をバランスよく配置したゲームです。
ラブ&アドベンチャー「おもいでの花」: 恋愛アドベンチャーゲームを意識したシナリオで、複数の結末が用意されています。
* コミカルアドベンチャー「逆版パラダイス」: 週刊ファミ通のスタッフがリレー形式で執筆した物語で、「A」と「B」の2種類のバージョンが用意されています。

スタッフ

エグゼクティブプロデューサーは浜村弘一、プロデューサーは杉内賢次、メインディレクターは池田国人、ディレクターは加藤顕と中西保臣、企画原案は高見大三郎が担当しました。プログラムは小嶋俊晴、嶋作直樹、水落博英、プログラムアドバイザーは笹瑞穂が務めました。パッケージデザインは草野剛と仙木肇が担当し、グラフィックデザイナーは稲川征史と今正史、アシスタントデザイナーは宇井照子、熊谷美帆、小林直幹、今野恵美、清水謙、松岡真一、矢野智美、山崎俊吾が務めました。サウンドは有限会社ワームジェッツが担当し、ミュージックコンポーザーは大河雄一郎、山田靖子、メガネボンパンチ、サウンドエフェクトは大河雄一郎とNITOMIが担当しました。営業は小宮英武と結城光弘、宣伝は山崎彰叙と黛慎一、解説書は有限会社超音速と庭山明子が担当しました。パッケージイラストは山内真が担当し、協力には永峰孝紀、ノッチで～す、堀内ヒデフミが名を連ねています。

評価

ゲーム雑誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計31点（満40点）でシルバー殿堂入りを果たしました。


『サウンドノベルツクール』シリーズは、ユーザーの創造性を刺激し、多くのオリジナル作品を生み出すきっかけとなりました。その影響は、後のゲーム制作ツールにも受け継がれています。

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