アラビア半島

アラビア半島の概要

アラビア半島は、西アジア南西部に位置し、アジアとアフリカを結ぶ重要な地理的拠点です。アラビア語では「アラブの島」や「アラブの半島」を意味する「ジャズィーラト・アル＝アラブ」と呼ばれ、この名称は長い間使われています。世界最大の半島であり、漢字では「亜剌比亜」と表記されます。

地理

アラビア半島は、紅海、アカバ湾、アラビア海、アデン湾、ペルシア湾、オマーン湾に囲まれています。また、北側にはイラクとヨルダンがあります。この半島は、広大な砂漠地帯が広がっており、特に中央や北部にはダフナ砂漠とナフド砂漠、南東にはルブアルハリ砂漠が見られます。一方で、南部沿岸地域は季節風の影響を受け、比較的温暖湿潤な気候は農業に適しています。半島の最高峰は、南西部に位置するナビー・シュアイブ山であり、その標高は3,666メートルに達します。

政治的には、アラビア半島はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、オマーン、イエメンに分かれています。特に、サウジアラビアは半島の80％を占めており、広大な土地の大部分は砂漠であることが特徴です。耕作地はごくわずかで、全体の1.4％程度に過ぎません。

アラビア語名称

アラビア半島の現代の名称は、アラビア語で「シブフ・アル＝ジャズィーラ・アル＝アラビーヤ」と呼ばれ、「アラビアの半島」を意味します。元々の名称は「ジャズィーラト・アル＝アラブ」で、こちらも「アラブ人たちの島」を意味します。地域の名称においては、「アル＝ジャズィーラ」という言葉が使われることが多く、これは内陸部の地域にも適用されることがあります。例えば、シリア北部からイラクにかけてのメソポタミア地域も「アル＝ジャズィーラ」と呼ばれています。

言葉の起源

「アラビア」という言葉は、古代ギリシャ語に由来し、「アラブの土地」を意味します。「アラブ」という語は、アラビア語を母語とする民族を指しています。アラビアという名称は、ローマ帝国の時代から存在していたことが知られ、紀元前にはアッカド人によって「Arabi」と呼ばれていました。神話や旧約聖書に登場する「ハビラ」もアラビア半島と結びつけられることがあります。

歴史的背景

アラビア半島の歴史は非常に古く、100万年前には、アフリカ大陸の一部からホモ・エレクトスが住み始めたと言われています。シナイ半島経由または紅海を渡って定住集団が向かったことが確認されています。さらに、7万年前頃には現生人類がアフリカ東部から出てアラビアへ進出し、繁栄を始めました。紀元前4000年には、ペルシア湾岸でディルムン文明が栄え、紀元前3000年には灌漑農業がスタートしています。

その後、アラビア半島は数多くの国家が栄えつつ、紀元前8世紀にはサバア王国が登場し、香料生産を通じた交易で繁栄しました。また、570年にはイスラム教の創始者ムハンマドが誕生し、622年には彼を中心に初期イスラム教団が形成されます。その後、660年頃、ウマイヤ朝が成立し、さらなる統治が進められました。

時代は移り変わり、オスマン帝国の支配を受け、20世紀に入り、独立が求められる運動が次々に起こります。1920年代にはヒジャーズ王国がサウード家により征服され、1932年にサウジアラビア王国が成立しました。

このように、アラビア半島はその地理的な特徴と長い歴史を背景に、今なお重要な役割を果たしているのです。

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