サガミジョウロウホトトギス

サガミジョウロウホトトギス（学名：Tricyrtis ishiiana）は、ユリ科ホトトギス属に分類される多年草の一種であり、その名の通り、神奈川県の丹沢山地の一部でのみ見られる固有種です。この植物は、主に沢沿いの湿った岩場に自生し、生育場所から垂れ下がるように独特の風情で花を咲かせます。

草丈は30cmから60cm程度に成長し、葉は卵状披針形から披針形をしており、長さは7cmから15cmほどです。花は、長さが3cm前後の黄色い釣鐘型をしており、通常、8月下旬から9月中旬にかけて開花します。花の内側には、赤紫色の斑点が多数見られるのが特徴で、これが美しいアクセントとなっています。

サガミジョウロウホトトギスは、かつては丹沢山地で比較的普通に見ることができましたが、近年、その個体数は激減しています。その主な原因は、山野草ブームによる過剰な採取です。美しい花を咲かせるこの植物は、園芸愛好家の間で人気が高く、多くの株が盗掘されました。その結果、自生地ではほとんど見られなくなり、現在では環境省のレッドリストで「絶滅危惧IB類（EN）」に指定されています。以前のレッドデータブックでは、さらに深刻な「絶滅危惧IA類（CR）」に分類されていました。

この植物の保護のためには、自生地の保全と盗掘の防止が不可欠です。また、園芸目的での栽培を希望する場合は、許可を得た上で、種子や挿し木などによる繁殖を行うべきです。サガミジョウロウホトトギスは、丹沢山地の貴重な自然の象徴であり、その保護は、地域の生物多様性を守る上で重要な意味を持っています。

関連項目

ホトトギス属
丹沢山地

外部リンク

サガミジョウロウホトトギス(植物図鑑)
サガミジョウロウホトトギス

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