サギ・ムキ

サギ・ムキ：イスラエルの誇る柔道家

サギ・ムキ（Sagi Muki、1992年5月17日 - ）は、イスラエルの柔道選手であり、73kg級と81kg級で国際的に活躍しています。彼の得意技は袖釣込腰であり、爆発的でスピーディーな日本の柔道スタイルを好むことで知られています。

人物と経歴

ムキは4歳の時、バルセロナオリンピック71kg級銅メダリストであるオレン・スマジャが所属するクラブで柔道を始めました。2011年にはヨーロッパジュニア73kg級で3位に入賞し、その才能の片鱗を見せ始めます。2013年には、ヨーロッパオープン・トビリシをはじめとする3つのコンチネンタルオープン大会で優勝し、着実に実力を伸ばしていきました。

2014年のグランプリ・デュッセルドルフでは、決勝で日本の秋本啓之に敗れて2位に終わりますが、その年のグランドスラム・バクーでは見事優勝を果たしました。2015年6月には、バクーで開催されたヨーロッパ選手権（ヨーロッパ競技大会を兼ねる）で、決勝でジョージアのヌグザリ・タタラシビリを破り、優勝を飾りました。しかし、同年の世界選手権では、準々決勝で日本の大野将平に完敗し、7位に終わりました。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、準決勝でアゼルバイジャンのルスタム・オルジョフ、3位決定戦でジョージアのラシャ・シャフダトゥアシビリに敗れ、5位入賞に留まりました。

オリンピック後、ムキは階級を81kg級に上げ、2017年のグランプリ・タシュケントで優勝しました。2018年には、地元テルアビブで開催されたヨーロッパ選手権で優勝し、2階級でのヨーロッパ選手権制覇という偉業を達成しました。さらに、グランドスラム・アブダビでは決勝でベルギーのマティアス・カスを破り優勝。この勝利により、UAEでは初めてイスラエルの国歌が演奏されるという歴史的な瞬間を迎えました。試合後、ムキは「もはやイスラエルの選手であることを隠す必要はない。とてもうれしい」と喜びを語りました。また、この大会にはイスラエルのスポーツ・文化大臣であるミリ・レジェブも会場を訪れ、81kg級の表彰式ではプレゼンターとしてムキに金メダルを授与しました。

2019年には、地元開催となったグランプリ・テルアビブで優勝。続くグランドスラム・パリでは決勝でドイツのドミニク・レッセルに敗れ2位となりましたが、その実力は疑いようもありません。3月のグランドスラム・エカテリンブルグでは決勝で永瀬貴規を破り優勝、5月のグランドスラム・バクーでも優勝し、世界ランク2位で世界選手権に臨みました。そして、2019年8月に東京で開催された世界選手権では、準決勝でエジプトのモハメド・アブデラール、決勝でベルギーのマティアス・カスを破り、イスラエルの男子選手として初の快挙となる世界チャンピオンに輝きました。

2021年7月に日本武道館で開催された東京オリンピックでは3回戦で敗退しましたが、混合団体ではロシアオリンピック委員会戦で90kg級のミハイル・イゴルニコフを破るなどして、チームの勝利に貢献し、銅メダルを獲得しました。その後も、2022年の世界団体で3位、2023年には地元開催のグランドスラム・テルアビブとグランプリ・ザグレブで優勝するなど、活躍を続けています。

サギ・ムキは、その卓越した技術と精神力で、イスラエルの柔道界を牽引する存在です。今後の更なる活躍が期待されています。

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