サケツバタケ

サケツバタケ (裂鍔茸)

サケツバタケ（学名: Stropharia rugosoannulata）は、ハラタケ目モエギタケ科に属する、特徴的な形態を持つ中型から大型のキノコです。本種は、傘の上部に裂けるように形成された厚いツバを持つことが大きな特徴になっています。

名称の由来

日本名のサケツバタケは、柄の中間部に残った内被膜が裂けて星形になることに由来しています。かつては別種のオオウラムラサキがこの和名で呼ばれていましたが、適切な分類はされておらず、現在は異名とされています。また、地域によっては「ドッコイモタシ」とも呼ばれています。学名に含まれる種小名は「しわを有する輪」を意味し、ツバの特徴を示しています。英語圏では、wine-cap strophariaやking strophariaと呼ばれることがあります。

分布

サケツバタケは日本を含む多くの地域に分布しており、北米やヨーロッパ、中国でも見られます。また、オーストラリアとニュージーランドでの発見も報告されていますが、これらは帰化種である可能性があります。日本国内では、北海道から沖縄島まで広く生息しています。タイプ標本は北米のマサチューセッツ州で採取されたものです。

生態

このきのこは腐生菌であり、春から秋にかけて有機物が豊富な湿った場所や動物の糞上などで単生または群生します。特に雨上がりに多く見られ、公園のウッドチップの上でも育成します。加えて、サケツバタケは線虫を捕食し、それを窒素源として利用する能力も備えています。

形態

サケツバタケは、全体で高さ20センチメートルほどに成長します。傘は直径7センチから15センチメートル程度で、初めは半球状から次第に平らになり、湿ると粘性があり乾くとふわふわした繊維状の模様が見られます。肉は白く、しっかりしており、香りや味は穏やかです。ヒダは密生し、初めは白色から徐々に暗紫灰色に変わります。柄は長さ9センチから15センチ、上部にツバがあり、肉厚な形状をしています。そのツバは深く裂ける特性を持っています。

類似種

日本での類似種には、傘の色が異なるキサケツバタケがあります。欧米ではこれを変異型と見なすことが多いです。また、同じ環境に生育するコシワツバタケは小型で、傘の形状やツバの特徴で容易に区別できます。さらに、フミヅキタケも同じ場所で見られることがあり、色合いや胞子の違いで区別可能です。

食用と毒性

サケツバタケは美味しい食用キノコとして評価されており、食感はしっかりしていてクセがありません。火を通すことで風味が引き出され、生の状態では強すぎる味が出ることがあります。調理時には胞子を洗い流すと料理が美しく仕上がります。多くの料理に利用され、特に欧米ではバターソテーやあらゆる和風料理に適しています。

栽培

サケツバタケの栽培は、バーク堆肥とフスマを主材とし、高圧滅菌した培地を用います。無菌的に種菌を散布した後、適切な環境で菌糸を成長させます。栽培場所は柔らかい直射日光と湿気の管理が重要で、発生したサケツバタケは収穫時期を逃さないよう注意が必要です。収穫量は培地の重量に対しておおよそ40%程度とされています。

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