サザランド (オーストラリア)

サザランドは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州、サザランド・シャーに位置するサバーブです。シドニー中心部から南へ約35kmの距離にあり、交通の便が良い地域として知られています。

地理と交通

サバーブ内をシティレールのイースタン・サバーブ・アンド・イラワラ線が走り、サザランド駅が設けられています。この駅は、イースタン・サバーブ・アンド・イラワラ線の支線の起点ともなっており、支線はクロヌラ駅までを結んでいます。

サザランド駅は、サザランド・シャーにおける交通のハブとしての役割も担っており、駅の東西には、市内各地へと向かうバス路線のターミナルがあります。主なバス路線として、以下のようなものがあります。

961系統: サバーブを東西に横断し、東はミランダ駅までを結ぶ路線。
962系統: サザランド駅から市内北西部のイラウォングを経由し、バンクスタウンに至る路線。
965系統: サザランド駅からウォロノーラを結ぶ路線。
969系統: サザランド駅からミランダを結ぶ路線。
976系統: サザランド駅から市内南東部のグレイズ・ポイントに至る路線。
991系統: サザランド駅から市内南西部のヒースコーテに至る路線。
993系統: サザランド駅からヒースコーテを経由してウォロノーラ・ハイツに至る路線。
M92系統: サザランド駅からバンクスタウンを経由し、パラマッタまで運行する路線。

これらのバス路線により、サザランドは周辺地域へのアクセスが非常に容易な場所となっています。

歴史

サザランドの地名の由来には、二つの説があります。

一つは、ジェームズ・クックの航海に同行し、客死した船員、フォービー・サザランドにちなむという説です。しかし、彼とこの地名との直接的な関連を示す証拠は確認されていません。

もう一つは、探検家のトーマス・ミッチェルが1835年にジョージズ川の南岸を「Parish of Southerland」と名付けたという説です。ただし、その後の政府刊行物では「Sutherland」と表記されているため、この説にも疑問が残ります。

1860年代には、シドニーの実業家トーマス・ホルトが、サザランドからクロヌラまでの広大な土地（約53平方km）を買収しました。当時、この地域の主要産業は林業でした。ホルトは、石炭の採掘、牧羊、牡蠣の養殖など、多様な事業を展開しました。1881年には、ジョージズ川南岸のシルヴァニアに40部屋を有する大邸宅を建設しましたが、この邸宅は1918年に焼失しています。

1842年には、サウス・ロードが開通しました。その後、ウォロノーラ川を越えるイラワラ・ロードが開通したことで、シドニーとイラワラ地域が道路で結ばれました。後にイラワラ地域への主要道路は、プリンシズ・ハイウェイに取って代わられました。鉄道は、1880年代に建設され、当時の一般的な住居は、ブッシュの中に設置されたテントでした。その後、土地の区画整理が進められ、サザランド駅周辺を中心に街が形成されていきました。1886年時点では、建物はわずか4軒でしたが、ブロムリーという人物が駅舎、鉄道員住宅、商店を経営するようになり、1886年には郵便局、翌年には学校が開設されました。

1906年には、「シャー・オブ・サザランド」と呼ばれていたこの地域が、「サザランド・シャー」として正式に地方公共団体となり、サザランドはその中心地となりました。市議会議事堂は1915年に建設されました。1920年代までには、路面電車がサザランドとクロヌラの間を走るようになりました。

サザランドは、その歴史を通じて、交通の要所として発展し、多様な産業と文化が息づく地域となっています。

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