サステイナビリティ学連携研究機構

サステイナビリティ学連携研究機構 (IR3S)

サステイナビリティ学連携研究機構（略称：IR3S、英称：Integrated Research System for Sustainability Science）は、地球規模での人類社会の持続可能な発展を目指し、「サステイナビリティ学」という新たな学問分野の創出と発展を目的として設立された、日本の大学間ネットワーク型連携研究組織です。各参加大学を研究拠点として、分野横断的な視点から複雑な課題に取り組む研究活動を展開しました。

この機構は、2005年7月26日に東京大学総長を機構長として設置されました。初代機構長には小宮山宏氏が就任しています。地球の環境や社会システムが直面する様々な問題に対し、破壊的な影響を与えることなく将来世代も持続可能な形で活動できる社会を築くため、多角的な研究を通じて短期から長期にわたる多様な政策提言を行うことを目指しました。特に、サステイナビリティ学を確立し、日本から次世代に向けた革新的な提言を発信することを使命としていました。

IR3Sの重要な目標の一つには、「企業連携と人材育成」が掲げられていました。運営基盤をより強固なものとするため、外部からの資金を継続的に獲得するための活動も積極的に行われました。具体例として、2007年には昭和シェル石油との産学連携が実現しています。エネルギーの持続可能性に関する戦略を構築するため、「エネルギー持続性フォーラム」が両者により結成されました。この連携を通じて、昭和シェル石油から3名の研究員が客員教授や特任助教授としてIR3Sに受け入れられたほか、昭和シェル石油環境研究助成財団からは東京大学基金に対し、サステイナビリティ学の研究支援として5億円の寄付が行われるなど、研究の推進に大きく貢献しました。

研究活動の主体は、以下の5つの大学が担いました。これらの大学が密接に連携し、共同で研究プロジェクトを推進しました。

東京大学（運営主幹）
京都大学
大阪大学
北海道大学
茨城大学

また、主体運営大学だけではカバーしきれない特定の専門分野や個別課題の研究を担う協力大学・機関も多数参加しました。これらは2005年度に公募され、主体運営5大学による厳正な審査を経て選定されています。協力機関はそれぞれの得意分野で個別研究を進めると同時に、運営主体大学との連携を密にすることで、より高度で広範な戦略研究を可能にしました。当初からの協力機関とその研究対象分野は以下の通りです。（カッコ内は対象分野）

東洋大学（共生哲学）
国立環境研究所（長期シナリオ）
東北大学（環境リスク）
千葉大学（食と健康）

研究が進展するにつれて、さらに多様な視点や専門知識が必要となったため、2007年度には以下の大学が協力機関に加わりました。（カッコ内は対象分野）

早稲田大学（政治・ジャーナリズム）
立命館大学（戦略的イノベーション）

設立当初は国立大学が中心でしたが、2005年に私立大学として初めて東洋大学が参加し、2007年には早稲田大学と立命館大学が加わるなど、参加機関の多様性も拡大しました。

教育活動にも力を入れ、2007年4月には東京大学大学院新領域創成科学研究科内に「サステイナビリティ学教育プログラム」（修士課程）が開設されました。このプログラムを修了した学生は、「修士（サステイナビリティ学）」の学位を取得することができ、サステイナビリティ分野を担う人材育成にも貢献しました。

IR3Sは、2019年4月1日付で東京大学の組織改編に伴い、東京大学政策ビジョン研究センターと統合され、東京大学未来ビジョン研究センターへと発展的に移行しました。その理念と研究成果は、新たな組織に引き継がれています。

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