サドゥー

サドゥーとは：インドの苦行者の実態

サドゥー(sadhu)とは、サンスクリット語やパーリ語で「修行者」を意味し、ヒンドゥー教におけるヨーガの実践者や放浪する修行者の総称です。日本では「行者」「苦行僧」などと訳されます。現在、インドとネパールには400万人から500万人のサドゥーがいると言われています。

サドゥーの概要

サドゥーは、物質的な所有を放棄し、苦行や瞑想を通して解脱を目指します。彼らは世俗を離れた象徴として、枯葉色の衣服をまとい、数珠を首にかけます。中には「ナーガ」と呼ばれる、衣服を完全に放棄し、全裸で生活するサドゥーも存在します。彼らは髪や髭を剃らず、聖なる灰を体に塗ります。サドゥーは入門時に俗名を捨て、10種類の中から選ばれた新しい名前を名乗ります。

サドゥーの社会には、シヴァ神を主神とするシャイバ派と、ヴィシュヌ神を奉じるヴィシュナヴァ派の二つの主要な宗派があります。他にもシャクティ神を主神とする宗派などがあり、内部でも教義の解釈や伝統により分派しています。額のマークは所属宗派を示します。

社会における役割

サドゥーは、苦行によって人々のカルマを打ち破ると信じられており、インド社会で聖者として尊敬されています。一方で、彼らを冷遇すると呪術で報復されると恐れられることもあります。一般的には「ババ」という尊称で呼ばれ、敬意を示す「ジー」という接尾語がつくこともあります。

しかし、サドゥーへの崇拝は絶対的ではなく、都市部では疑わしい目で見られることもあります。観光地には、修行とは関係なく、観光客相手に写真撮影でお金を稼ぐ「観光サドゥー」も存在します。

サドゥーの生活

サドゥーは定住せず、寺院、街角、河川敷、森の中など、あらゆる場所で生活し、瞑想や苦行を行います。断食、山ごもり、片手を上げ続ける、片足立ちを続ける、転がりながら大陸を横断するなど、苦行の形は様々です。宗教的な瞑想のため、大麻を吸引する習慣を持つサドゥーもいます。生活の糧は喜捨によって得ていますが、貧困に苦しむサドゥーも少なくありません。呪術医や聖者として、お祓いや祈祷、結婚式の祝福などで収入を得る場合もあります。

インドでは、サドゥーは法的に死亡者とみなされます。入門時には自身の葬儀を行う者もいます。3年毎に開催されるクンブ・メーラには、インド各地からサドゥーが集まり、数千万人が参加する世界最大級の祭典となります。サドゥーはクンブ・メーラに参加するため、二等列車に無料で乗車することが黙認されています。

サドゥーになるには

サドゥーになるための手続きは宗派によって異なりますが、多くの場合、グル（導師）に弟子入りする必要があります。サドゥーの資格を得るには、導師のもとで数年間無償で働き、クンブ・メーラの承認式に参加する必要があります。志望者は10代後半から20代の若者が多いですが、家庭を持つ者もいるため、家族を捨てる覚悟が必要です。家庭内の不和や経済的な理由からサドゥーを志望する者もいます。

サドゥーは、インドの宗教と社会において独特な存在であり、その生き方は多くの人々にとって興味深いものです。

関連情報

出家
四住期
* 超能力（シッディ、神通力）

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