サフィニア

サフィニアについて

サフィニア（学名：'Surfinia' Petunia Surfinia Series Hybrid Cultivar. 'Surfinia'）は、ナス科ツクバネアサガオ属の植物で、1989年にサントリーと京成バラ園芸が共同で開発したペチュニアの園芸品種です。正式名称は「ペチュニア・サフィニア・シリーズ 'サフィニア'」といい、「サフィニア」の名称はサントリーフラワーズの登録商標です。

特徴

サフィニアは、従来のペチュニアとは異なり、栄養繁殖系で初めて本格的に成功した品種です。ペチュニアの原種が持つ長日植物である弱点を克服し、不稔性が高く、生育しても草姿が乱れにくいという特徴があります。また、花数が多く、開花期が長いのも魅力です。

開花時期は4月から10月で、耐寒性の低い常緑多年草ですが、日本では一年草として扱われることが多いです。10月から11月には地上株が寒さで枯れてしまいますが、適切な温度管理を行えば越冬も可能です。越冬した株は、翌年にはさらに大きく成長します。

開発の背景

サフィニアの開発は、サントリーの駐在員がブラジルから持ち帰ったペチュニアの原種がきっかけでした。従来のペチュニアは、花壇での栽培に特化した品種が主流でしたが、サフィニアは原種の伸びやかさを活かし、匍匐性（ほふくせい）という地面を這うように成長する性質を持っています。

品種名「サフィニア」は、この匍匐性が強いことから、英語のSurfing（サーフィン）とPetunia（ペチュニア）を合成した造語です。サフィニアは、栄養繁殖系ペチュニアの成功例として、栄養系品種が商業的に成り立つことを証明しました。この成功が、今日の栄養繁殖系園芸品種の隆盛につながったと言えます。

栄養繁殖系であるため、種子が少なく、花数が多いという特徴があります。また、亜流の品種（雑種）ができにくいため、商業的に独占できるというメリットもあります。

広がり

サフィニアは、1989年の発表後、急速に普及しました。1991年にはヨーロッパで、1993年には北米でも販売が開始され、海外でも高い評価を得ています。サフィニアの成功後には、さまざまなバリエーションが生まれ、花の大きさや色も豊富になりました。赤、赤紫、紫、青紫、白、白黄、白青、桃などがあり、ピンク地に白の放射状の模様が入る星咲きの品種や、黄色地に薄桃色～薄紫の模様が入る「とらネコ」など、ユニークな品種も登場しています。

サフィニアの成功は、同業他社がペチュニア市場に類似商品を投入する「ペチュニア戦争」と呼ばれる状況を引き起こしました。サフィニアは、日本の園芸業界の寵児となり、1990年代から始まったガーデニングブームの火付け役となりました。ベランダ園芸など、狭い場所での栽培にも適しており、日本の住宅事情に合った品種と言えます。

サフィニアは、花卉流通業界の流れを変えた品種の一つでもあります。従来、しなだれるタイプの鉢植えは敬遠されていましたが、サフィニアの大ヒットにより、流通業界主導の荷姿も多様化しました。これにより、消費者は植物の仕立て方に対する選択肢が広がり、さまざまな草姿の植物を楽しめるようになりました。

栽培

サフィニアは、一般的なペチュニアと同様に雨に弱いため、日本では花壇にはあまり向きません。匍匐性が強いため、プランターやハンギングでの栽培に適しています。枝がしなやかで伸びやすいので、容易に樹勢を調整できます。摘心や切り戻しを行うことで、枝数を増やし、蕾を増やすのが基本的な育成方法です。大輪、中輪、小輪など、花の大きさや色、用途に合わせて改良された品種も多く存在します。

耐寒性は低いため、越冬させるには室内管理が必要となります。連作障害を起こしやすいので、土の消毒や入れ替え、コンパニオンプランツの導入などの対策が必要です。また、挿し木で増やした苗を販売・譲渡することは、種苗法に抵触するため注意が必要です。

まとめ

サフィニアは、画期的な特徴を持つペチュニアの園芸品種であり、日本の園芸業界に大きな影響を与えました。その美しさ、育てやすさから、現在でも多くの人に愛され続けています。

参考文献

最相葉月『青いバラ』新潮文庫、新潮社
サントリーフラワーズの発売当時のパンフレットと概要
NHK出版『趣味の園芸』複数冊からの抜粋

関連項目

ペチュニア
サントリー
サントリーフラワーズ
京成バラ園芸
アグリビジネス
* ガーデニング

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