サフランボル

サフランボル：歴史と文化が息づくトルコの古都

サフランボルは、トルコ北部のカラビュック県に位置する歴史的な都市です。黒海から約100km内陸に入った場所にあり、首都アンカラからは北へ約200kmの距離にあります。2000年の時点で人口は約4万7千人を数えます。この街の歴史は11世紀にまで遡ることができ、その豊かな文化遺産は、1994年にユネスコの世界遺産「サフランボル市街」として登録されました。

サフランボルの歴史

サフランボルの名前は、この地がかつて香料サフランの集積地として栄えたことに由来します。ギリシャ語ではサフラムポリス（Saframpolis, Σαφραμπολις）と呼ばれていました。先史時代の遺跡やローマ時代の墓、橋なども存在しますが、歴史の表舞台に登場したのは11世紀以降です。世界遺産に登録されている旧市街は、乾燥した峡谷に位置し、現在の市街地から約2km東に広がっています。

旧市街には、歴史的な建造物が数多く残されています。私立博物館が1つ、モスクが25、霊園が5つ、歴史的な噴水が8つ、トルコ式浴場（ハマム）が5つ、隊商宿（キャラバンサライ）が3つ、歴史的な時計塔が1つ、日時計が1つ、そして数百にも及ぶイスラーム建築の住居が現存しています。

13世紀には交易の中心地として発展し、モスク、浴場、スレイマン・パシャのマドラサなどの建築物は1322年に建設されました。17世紀にはサフランボルは最盛期を迎え、市場が拡張され、60室を有する宿屋、コプルル・モスク、イツレット・モスクなどの建築物が17世紀から18世紀にかけて建てられました。この時期には、オスマン建築様式に基づいた住居が数多く建設され、当時の姿を今に伝えています。しかし、鉄道の発達とともに、20世紀に入るとサフランボルは衰退へと向かいました。

世界遺産としてのサフランボル

サフランボル市街は、以下の世界遺産登録基準を満たしていると評価され、登録されました。

(2) 建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展において、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
* (5) ある文化を代表する伝統的集落、または人と環境の関わりを示す際立った例であり、特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれているもの。

これらの基準に基づき、サフランボルは、歴史的建造物群が示す文化的価値と、伝統的な都市景観が評価されたのです。サフランボルは、過去の栄華を伝える貴重な遺産として、これからもその姿を後世に伝え続けていくでしょう。

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