サブジ

サブジ（Sabji）

サブジは、ヒンディー語やウルドゥー語で「野菜」を指す言葉で、インドやパキスタンの伝統的な野菜料理として広く愛用されています。この料理は、現地の発音に倣うと「サブズィー」または「サブジー」と音が伸びます。サブジは基本的に、野菜を使用した蒸し煮や炒め煮のことであり、シンプルでヘルシーな食事として人気を博しています。

日本の野菜料理を「お野菜」と呼ぶのに似て、サブジもその名が示す通り、主に野菜を中心としています。しかし、興味深いことに、乳製品も含まれる場合があります。たとえば、ホウレンソウとカッテージチーズの料理はサブジに分類され、同様に動物の殺生を伴わない料理として楽しむことができます。また、大粒のひよこ豆料理がダールではなくサブジに含まれるのも特徴的です。果物のジャックフルーツも、飽くまで料理として扱われるとサブジとなります。

一般的に、サブジの調理法は多様ではなく、具材は一つの料理に1〜2種類程度が一般的です。日本のカレーのように多数の具を使用する料理とは異なります。また、調味料には動物性食材やアルコール類を加えず、純粋な植物性の設定の中でつくられます。この点が、サブジのユニークさを際立たせています。

調理法においては、植物油で香辛料と香味野菜、塩を利用し、具材を蒸し煮または炒め煮にします。基本的に、茹でる作業は行わず、蓋のついた一つの鍋で完成します。この調理過程では水をほとんど加えず、塩と熱が野菜の水分を引き出すことで進行します。そのため、素材が焦げるのを避ければとてもシンプルに料理できます。インドではベジタリアンが多く、肉食が主流のパキスタンにおいても広く楽しまれています。

地元の食堂では、サブジを単品で注文することは少なく、2〜3種類をダールやアチャール（漬物）と共に小皿で提供されるのが一般的です。別皿で主食が出てくるので、さまざまな味や風味を楽しむことができます。料理名に「サブジー」を付けることなく、ただ野菜名を伝えるだけで通じるのも魅力の一つです。さらに、キーマカレーの副菜としてもサブジが利用されることがあります。

ネパールにもサブジに似た料理が存在し、その名は「タルカリー」となります。これも「野菜」を意味する言葉です。このようにサブジは地域を超えて共通の食文化を形成しており、食事のスタイルや楽しみ方に厚みをもたらしています。

主にサブジに使用されるスパイスには、クミンシード、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラ、レッドペパー、またはパプリカなどがあります。これらのスパイスが、サブジの風味を引き立てます。

主なサブジ料理の例

• - オクラのサブジ（ビンディ）
• - カリフラワーのサブジ（ゴビー）
• - じゃがいものサブジ（アル―）
• - じゃがいもとカリフラワーのサブジ（アルーゴビー）
• - じゃがいもとグリーンピースのサブジ（アルーマタル）
• - ナスのサブジ（バインガン）
• - ひよこ豆のサブジ（チャナー）
• - ホウレンソウとカッテージチーズのサブジ（パラクパニール）

これらの料理はサブジの魅力を体現しており、地元の人々の日常の食卓に欠かせない存在です。

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