サプサン

ロシアの高速鉄道「サプサン」

サプサン（ロシア語: Сапсан）は、ロシア鉄道が運行する高速鉄道車両です。ドイツのシーメンス社が製造した「ヴェラロ」シリーズをベースにしており、ロシアの広軌（1520mm）に対応した特別仕様となっています。サプサンはロシア語で「ハヤブサ」を意味し、その名の通り、高速で都市間を結ぶ役割を担っています。

開発と導入

2006年5月19日、ロシア鉄道はシーメンス社と、8編成の高速鉄道車両の調達契約を締結しました。この契約には、30年間の保守サービスも含まれており、総額は6億ユーロに達しました。車両はドイツの高速鉄道ICE3をベースとしていますが、ロシアの広軌に対応するため、車体幅が330mm拡大され、3265mmとなっています。また、4編成は直流3kVと交流25kV/50Hzの両方に対応した交直流両用車両です。

1編成は10両で構成され、全長は約250m、定員は約600名です。車両の開発と製造はドイツ国内で行われ、直流3kV専用の「EVS1」は主にモスクワ - サンクトペテルブルク間で、交直流両用の「EVS2」はモスクワ - ニジニ・ノヴゴロド間でも運用されています。2009年5月には試験走行で290km/hの最高速度を記録しました。

営業運転

2009年12月18日から、モスクワ - サンクトペテルブルク間で営業運転を開始しました。当初は最高速度250km/hで1日3往復運行され、最速列車は両都市間をノンストップで3時間45分で結びました。これは従来の所要時間よりも45分の短縮でした。2020年の時点では、最速列車が3時間30分で両都市間を走破しています。

その後の状況

2022年にロシアのウクライナ侵攻が開始されると、西側諸国はロシアに対して経済制裁を発動しました。この影響を受け、シーメンス社はロシア事業から撤退を表明し、サプサンのメンテナンスに支障が生じるという懸念も出ています。

今後の展望

将来的には、高速専用線の建設が予定されており、これによりサプサンの最高速度は330km/hまで引き上げられる予定です。これにより、さらなる所要時間の短縮が期待されています。

サプサンの特徴

広軌対応: ロシアの鉄道規格である広軌（1520mm）に対応した車体構造
交直流両用: 一部の編成は異なる電源方式に対応し、異なる区間での運用が可能
高速性能: 最高速度290km/hを記録し、モスクワとサンクトペテルブルク間を高速で結ぶ
快適な車内: 長距離移動でも快適に過ごせるよう、座席や設備が整っている

関連情報

ロシア高速鉄道: サプサン以外のロシアの高速鉄道に関する情報
ラースタチカ: ロシアの近郊路線で運用されている高速電車
高速車両「ソコル」: かつて開発されたロシアの高速鉄道車両
ソ連運輸省ЭР200型電車: ソ連時代に開発された高速電車

外部リンク

Velaro RUS for Russia Siemens Page
Velaro RUS pdf Siemens Page
* 高速列車 ロシア鉄道（ロシア語）（英語）

サプサンは、ロシアの主要都市間を結ぶ重要な交通手段として、人々の移動を支えています。今後、高速専用線の整備が進むことで、さらに高速で快適な移動が実現することが期待されます。

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